意識障害を呈する既往症のある患者に合併した慢性硬膜下血腫患者の転帰は不良

公開日:

2016年9月3日  

最終更新日:

2017年9月23日

Outcomes of chronic subdural hematoma with preexisting comorbidities causing disturbed consciousness.

Author:

Yasuaki Abe  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Kyorin University School of Medicine, Tokyo, Japan.

⇒ PubMedで読む[PMID:27231976]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2016 May
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:1

【背景】

慢性硬膜下血腫(CSDH)の治療としては穿頭血腫ドレナージ術が一般的だが,意識障害を伴うような術前合併症が治療転帰にどの程度の影響を及ぼすかはわかっていない.Abeらは3年間の連続188例を対象にこれらの合併症とmRS,術後の合併症発生,術後再発率との相関を検討した.認知症,精神疾患,脳卒中の既往など意識障害を伴う合併症を有する患者は46例(24%)だった.

【結論】

合併症を有する患者は高齢で,術前のGCSが低く,術前mRSが高かった(いずれもp<0.001).また術後90日のmRSは合併症を有する患者で有意に高かった. 加えて,合併症を有する患者ではmRSの改善の程度が有意に小さかった. また,多変量ロジステック回帰分析によれば,合併症の存在,患者の年齢,再発に伴う再手術,術前のmRSの4つが転帰不良(術後90日のmRS>3)と相関した.合併症を有する患者では手術合併症と手術死亡はいずれも有意に高く(p<0.01), 一方,CSDHの再発率には有意差は認められなかった.

【評価】

意識障害を呈するような合併症の存在が,CSDHの重症度や術後90日の転帰に影響を及ぼすことを示す研究である.意識障害を伴う術前合併症を有するCSDHの患者では,CSDHの診断が遅れ,予後不良の転帰をたどる可能性が高いことが示唆される.この研究結果は,治療転帰の予測とインフォームドコンセントにも重要な情報を提供してくれる.

執筆者: 

原裕明

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