Vol.1, No.2, P.16 公開日:
2016年9月24日最終更新日:
2021年1月12日Acromegaly incidence, prevalence, complications and long-term prognosis: a nationwide cohort study.
Author:
Dal J et al.Affiliation:
Department of Endocrinology and lnternal Medicine, Aarhus University Hospital, Aarhus, Denmarkジャーナル名: | Eur J Endocrinol. |
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発行年月: | 2016 Sep |
巻数: | 175(3) |
開始ページ: | 181 |
【背景】
先端巨大症の発生頻度や合併症に関する住民ベースでの信頼に足る疫学データは少ない.これはデンマークのナショナルレジストリーからの疫学レポートである.
【結論】
発症時年齢は平均48.7歳,発生率(annual incident ratio)は3.8/100万人/年で,いずれも過去30年間変わらず.有病率は85/100万人/年.健常人と比較して種々の合併症の罹患率は高く,hazard ratioは糖尿病4.0,心不全2.5,静脈血栓症2.3,睡眠時無呼吸11.7,関節症2.1といずれも有意に高かった.癌の罹患リスクについては有意の上昇は認められなかった.死亡リスクは標準化死亡比1.3で高く,患者が受けた治療法には影響されなかった.
【評価】
北欧のナショナルレジストリーは強固であるが,下垂体の疫学研究においてもその力を発揮している. 本研究はDanish National Patient Registry (DNPR),the Danish Civil Registration System(DCRS),the Danish Register of Causes of Death(DRCD)という3つのナショナルデータベースを基にした研究であるが,データベース間の個人の同一性は全国民に割り当てられている個人登録番号によって可能である.診断技術,診断学の進歩にもかかわらず,先端巨大症の発生率は20〜30年前と変わらない,また患者の初診年齢も低下していない.なぜか.著者らは,その原因として疾患に対する関心が増加していない事を推測している.
執筆者:
有田和徳関連文献
参考サマリー