外傷後の頭蓋内圧亢進に対する減圧開頭手術は有効か:RCTの結果

公開日:

2016年9月29日  

最終更新日:

2017年6月9日

Trial of Decompressive Craniectomy for Traumatic Intracranial Hypertension.

Author:

P.J.Hutchinson  et al.

Affiliation:

Division of Neurosurgery, University of Cambridge, Cambridge, United Kingdom

⇒ PubMedで読む[PMID:27602507]

ジャーナル名:N Engl J Med.
発行年月:2016 Sep
巻数:375(12)
開始ページ:1119

【背景】

頭部外傷(TBI)によるコントロール不良の頭蓋内圧亢進に対する減圧開頭手術が有効か否かについては不明である.ケンブリッジ大学のHutchinson P.J.らは,TBIによる頭蓋内圧亢進に対する減圧開頭術の有用性を評価するために国際多施設共同研究RESCUE-trialを実施した.受傷後にバルビタール療法以外の治療法を行っても25mmHg以上の頭蓋内圧亢進が持続する患者を,減圧開頭術群もしくは内科的治療群のいずれかに無作為に割り当てた.一次評価項目は6カ月後のExtended Glasgow Outcome Scale(GOS-E),二次評価項目は12〜24カ月のGOS-Eなどとした(n=408).

【結論】

6カ月後のGOS-Eの分布は2群間で有意差を示した(p<0.001).減圧開頭術群では,内科的治療群と比較して死亡率は低いが(26.9% vs 48.9%),vegetative state,severe disabilityはいずれも減圧開頭術群で高かった.一方,転帰良好のmoderate disabilityとgood recoveryの割合は6カ月では同程度であった.favorable outcome(upper severe disabilityかそれより良好)は6カ月で差はなく(42.8% vs 34.6%;p=0.12),12カ月では減圧開頭術群のほうが良かった(45.4% vs 32.4%;p=0.01).減圧開頭術群のほうが頭蓋内圧低下(<25mmHg)までに要する時間は早かったが(5時間 vs 17時間;p<0.001),有害事象の出現は高頻度であった(16.3% vs 9.2%;p=0.03).

【評価】

TBI後の頭蓋内圧亢進は頻繁に発生し,死亡や予後不良につながる.
頭蓋内圧20mmHg以上を呈するびまん性脳損傷患者(DBI)を対象とした先行のRCTであるDecompressive Craniecomy(DECRA)trialでは,6カ月時点での死亡率は減圧開頭術群(19%)と標準治療群(18%)で同じであったが,減圧開頭術群のほうが標準治療群と比較して転帰不良の割合が高かった.
本研究は先行研究と異なり,頭蓋内血腫症例を含んでおり,頭蓋内圧閾値も25mmHgと高い.研究の結果は,減圧開頭手術により死亡率は減少したものの,内科的治療群と比較し,植物状態など転帰不良をきたす割合が高かった.一方,12カ月時点でのfavorable outcome(upper severe disabilityかそれより良好)の割合は減圧開頭術群のほうが有意に高かった.この結果を臨床実践にどのように活かすか悩むところであるが,少なくとも治療方針を決定する際,開頭減圧術で延命率が上がっても,植物状態や重度障害となる可能性が上がることは術者と家族は十分に認識しておく必要がある.
なお本研究では,割り付け治療実施後の頭蓋内圧の更なる上昇に対するバルビタール療法や減圧開頭術は両群ともに許容されている.また,減圧開頭の範囲は,一側大脳半球腫脹の場合は広範囲な一側前頭側頭開頭,びまん性脳損傷の場合は両側前頭開頭と患者の病態に応じて選択している.

   

監修者: 

有田和徳

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