高齢者髄膜腫手術例の生命予後は一般人口と変わりない

公開日:

2016年8月13日  

最終更新日:

2017年9月23日

Surgery for meningioma in the elderly and long-term survival: comparison with an age- and sex-matched general population and with younger patients

Author:

Brokinkel B  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, University Hospital Münster, Münster, North Rhine-Westphalia, Germany

⇒ PubMedで読む[PMID:27257838]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2016 Jun
巻数:
開始ページ:1-11. [Epub ahead of print]

【背景】

近年高齢者の髄膜腫患者が増加している.腫瘍ならびに手術が生命予後に与える影響はいまだ明らかではない.ドイツ Münster大学のBrokinkelらは,自験の500例の髄膜腫手術例を平均90カ月間追跡し,高齢者髄膜腫患者の手術後長期予後を若年者群,一般人口対照群と比較した.対象は高齢患者群(年齢≧65歳,平均71歳,n=162)と若年者群(年齢<65歳,平均51歳,n=338).

【結論】

ハイグレード髄膜腫(WHO grade 2,3)と脊髄髄膜腫は若年者より高齢者に多かった (15% vs. 8%, p= 0.001).無増悪期間(PFI)は両群同様であった.手術後3カ月の死亡率は高齢者群で高く(7% vs. 1%;p<0.001),生存期間(OS)中央値は高齢者群で若年者群より短かった(HR 4.9, 95% CI 2.75〜8.74;p< 0.001).高齢者群におけるOS中央値は一般人口対照群との間では差はなかった.高齢者群の中では,PFIはハイグレード群ならびに亜全摘群(肉眼的全摘群に比較して)で低かった(HR 24.74, 95% CI4.23〜144.66;p<0.001)(HR 10.57, 95% CI 2.23〜50.05;p = 0.003).OS中央値は,肉眼的全摘群では亜全摘群より長かった(HR 2.7, 95% CI 1.09〜6.69;p=0.032).

【評価】

本研究の結果は,高齢者髄膜腫の手術に対する過剰な恐怖を和らげるのに役立つと思われるが,今後日本でも追試されるべき観察研究である.その際,75歳以上の後期高齢者ではどうなるのかの検討も必要であろう.本研究において,高齢者群では手術後3カ月の死亡率が7%と高いにも関わらず,OS中央値が一般人口と差がないのは,手術がより健康な患者を対象とし,不健康な患者を避けたためか(selection bias),死因(腫瘍関連死亡あるいは非関連死亡)も含めた検討が必要である.

執筆者: 

有田和徳

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