脳腫瘍摘出時の脳室内進入に伴う合併症の検討

公開日:

2016年12月23日  

最終更新日:

2017年5月10日

Complications of ventricular entry during craniotomy for brain tumor resection.

Author:

Jessin K. John, MD, PhD  et al.

Affiliation:

Hermelin Brain Tumor Center, Department of Neurosurgery, Henry Ford Hospital, Detroit, Michigan.

⇒ PubMedで読む[PMID:27813467]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2016 Nov
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

脳腫瘍摘出時に脳室内に進入することが,周術期の合併症の発症に影響を及ぼすかに関しては文献的裏付けに乏しい.そこでHenry Ford HospitalのJessinらは,開頭による脳腫瘍摘出術188症例を対象に,脳室内進入の有無が合併症の発症に影響するかについて後ろ向きに検討した(脳室進入群 n=35 vs 脳室非進入群 n=153).

【結論】

合併症の発症率は脳室内に進入した群で有意に高かった(46% vs 21%, p<0.001) .とりわけ,顕著に認められたのが脳室内ドレーン(EVD)留置(23% vs 1%,p<0.001),水頭症(6% vs 0%,p=0.03),脳室内出血(IVH)(14% vs 0%, p<0.001),感染症(15% vs 5%,p=0.04),帽状腱膜下液体貯留(20% vs 4%,p<0.001),VPシャント留置(11% vs 0%,p=0.001)であった.さらに,GBMにおいて脳室内進入の有無で生存中央値に差があるかを検討したが,両群の間に有意差を認めなかった(329日 vs 522日,p=0.67).

【評価】

脳外科医にとって暗黙の了解となっていた,脳室周囲の腫瘍の摘出の際に脳室内に進入することが,合併症率を高め,予後を不良にするという定説を裏付ける研究結果である.したがって脳室周囲に腫瘍が存在する場合,手術中に脳室に進入しないような手術戦略をたてる必要があるという結論である.ただこれが,手術手技上の問題なのか,脳室周囲に腫瘍が伸展していること自体に起因する問題なのかは更なる検討が必要である.また,合併症発症の分子機序や生存率に及ぼす影響についてもより詳細な研究が待たれる.

執筆者: 

原裕明   

監修者: 

有田和徳

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