COVID-19陽性患者における脳血管障害の実態:武漢華中科技大学病院

公開日:

2020年5月3日  

最終更新日:

2020年5月11日

Acute cerebrovascular disease following COVID-19: a single center, retrospective, observational study

Author:

Bo Hu  et al.

Affiliation:

Department of Neurology, Union hospital, Tongji medical college, Huazhong university of science and technology, Wuhan, China

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ジャーナル名:The Lancet
発行年月:2020 Mar
巻数:Manuscript Draft
開始ページ:

【背景】

COVID-19陽性入院患者における中枢神経症状の頻度に関しては既に武漢華中科技大学から,めまい(16.8%),頭痛(13.1%),意識障害(7.5%),脳卒中(2.8%),味覚障害(5.6%),嗅覚障害(5.1%)と報告されている(文献1).
本論文は,同じ施設からの脳卒中に関しての報告である.対象は,2020年1月16日~2月29日に武漢華中科技大学病院に入院したCOVID-19陽性患者,連続221人.このうち(5.8%)(男性7名,女性6名)が急性期脳卒中と診断された.

【結論】

内訳は,急性期脳梗塞11名(5%),静脈洞血栓症1名(0.5%)(CVST),脳内出血1名(0.5%)であった.2月29日までに38%(5/13)が死亡している.急性脳卒中患者は非脳卒中患者に比較して,高齢(平均71.6 vs 52.1歳,p<0.05),COVID-19症状の強い患者が多く(84·6 vs. 39·9%,p<0.01),心血管疾患リスク(高血圧,糖尿病,過去の脳血管障害)が高かった(いずれもp<0.05).CRP(51·1 vs 12.1 mg/L,p<0.01)とDダイマー(6.9 vs 0.5 mg/L,p<0.001)も高かった.

【評価】

COVID-19陽性入院患者の5.8%が急性期脳卒中を呈し,この群での致死率は高い(38%).高齢者,COVID-19症状が強い患者,心血管リスク因子を有する患者では脳卒中を罹患する可能性が高く,血液像で炎症所見や過凝固の所見を伴いやすいという報告である.
13例中11例ではCOVID-19症状が脳卒中に先行していたが,2例は同一日に診断されている.
米国からは,リスク因子の少ない若年COVID-19陽性患者における脳主幹動脈閉塞の5例が報告されているが(文献2),COVID-19陽性患者で脳卒中罹患率が特異的に高いのか,そうであれば背景にどのようなメカニズムが存在するのか,より多数例での検討が必要である.
一方,可能性としては,咳や発熱などの典型的な症状のないCOVID-19陽性者が脳卒中症状で救急外来を受診する可能性もあるということで,救急医療機関でのより強力な感染防御態勢が必要なことを示唆しているのかも知れない.

執筆者: 

有田和徳

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