ADAMTS遺伝子多型は脳動脈瘤発生リスクか

公開日:

2016年10月19日  

最終更新日:

2017年6月9日

ADAMTS genes and the risk of cerebral aneurysm.

Author:

Markus Holling, MD  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, University Hospital Münster, Germany

⇒ PubMedで読む[PMID:26745484]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2016 Aug
巻数:125(2)
開始ページ:269

【背景】

脳動脈瘤の発症においては,家族素因が重要なリスク因子であるが,最近,血管壁のリモデリングに関与するマトリクス・メタロプロテアーゼ(MMP)関連の遺伝子多型と脳動脈瘤の発生の関与が指摘されている.ドイツMünster大学脳外科のHollingsらはADAMTS (A-disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs)ファミリーのうち4種類のMMP遺伝子(ADAMTS2,同7,同12,同13)における8つの遺伝子多型をターゲットとした症例対照研究を行った(脳動脈瘤群:353名,コントロール群:1055名).

【結論】

ADAMTS2遺伝子多型rs11750568のキャリアで脳動脈瘤のリスクは最も高かった(オッズ比, OR:1.32, p=0.006).ADAMTS13遺伝子多型rs2301612(OR:1.26, p=0.011)と同遺伝子多型rs2285489(OR:1.24, p=0.02)も脳動脈瘤発生の有意なリスク因子であった.ADAMTS12遺伝子多型rs1364044,ADAMTS13遺伝子多型rs739469,ADAMTS13遺伝子多型rs4962153はいずれも脳動脈瘤発生に抑制的に作用していた.

【評価】

くも膜下出血は脳動脈瘤の破綻を主な発症原因とし,約半数が初回出血で死亡する重篤な疾患であることから,脳動脈瘤発生の原因遺伝子の検索が積極的に進められている.これまでにも血管組織のリモデリングを担うSOX17遺伝子とCDKN2A遺伝子の関与を指摘する国際多施設大規模遺伝子多型解析(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18997786)などがある.
ADAMTSファミリーはタンパク質分解酵素として働くペプチドである.本研究はMMP関連のADAMTS遺伝子の脳動脈瘤発生への関与を指摘した点で新規である.
ADMATS遺伝子多型によってもたらされる血管内壁の完全性の低下が炎症機転などと組み合わさって動脈瘤の形成に重要な働きをしていることが示唆された.今後,ADMATS遺伝子多型が具体的に脳動脈瘤の形成にどのように関与しているかを解明する研究が待たれる.

執筆者: 

原裕明   

監修者: 

有田和徳

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