RAグラフトによるEC-ICバイパス術を施行した内頸動脈瘤患者における神経学的増悪因子と症候性分水嶺梗塞関連因子の検討

公開日:

2016年11月19日  

最終更新日:

2017年6月9日

Risk factors for neurological worsening and symptomatic watershed infarction in internal carotid artery aneurysm treated by extracranial-intracranial bypass using radial artery graft.

Author:

Matsukawa H  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Teishinkai Hospital, Hokkaido, Japan.

⇒ PubMedで読む[PMID:26566202]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2016 Aug
巻数:125(2)
開始ページ:239

【背景】

内頸動脈の複雑な動脈瘤に対する治療法としては,現在EC-IC(外頸動脈‐内頸動脈)バイパスによる血行再建術が行われているが,症候性分水嶺梗塞の発生が問題となっており,その危険因子は依然として不明である.北海道のMatsukawaらは,EC-RA(橈骨動脈)- M2(中大脳動脈)バイパスを施行した内頸動脈瘤患者を対象に神経学的増悪因子と症候性分水嶺梗塞のリスク因子について検討した(n=37).

【結論】

症候性分水嶺梗塞は2名(5.4%)で認めた.RAグラフト開放後平均MCA圧<55mmHg(p=0.017),平均(RAグラフト開放後MCA圧)/(内頸動脈閉塞前のMCA圧)<0.70(p = 0.032),(RA/C2)2 < 0.40(p<0.0001),(STA/C2)2<0.044(p< 0.0001)が症候性分水嶺梗塞に有意に関連していた.退院時の神経学的増悪は11名(29%)で認められ,術後1年(もしくは最終受診日)の神経学的増悪は8名(22%)で認めた.手術側が左であること(p=0.009),術後DWIにおける穿通枝梗塞(p=0.005)は年齢・性別補正後も退院時および術後1年(もしくは最終受診日)の神経学的増悪に有意に関連していた.

【評価】

まず,手術前にindependent(mRS<3)であった35例全例が手術後もindependentであり,また症候性分水嶺梗塞は2例のみ起こったが2例ともその後症状が消失したという驚異的な手術成績である.このようなsuper excellent resultsの患者集団を対象とした研究が,一般の脳外科治療に敷衍できるのか,疑問ではある.
そのことは置いておくとして,特にRAグラフトと閉塞される内頸動脈の血管径比が十分(>0.4)にないと,症候性分水嶺梗塞が生じ得ることを示した点,左手術側および穿通枝梗塞が神経学的増悪に関与していることを明らかにした点で新規である.

執筆者: 

原裕明   

監修者: 

有田和徳

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