成長ホルモン産生下垂体腺腫の全ゲノム解析

公開日:

2016年8月14日  

最終更新日:

2017年4月6日

Whole-Genome Sequencing of Growth Hormone (GH)-Secreting Pituitary Adenomas

Author:

Välimäki N  et al.

Affiliation:

Department of Medical and Clinical Genetics, Genome-Scale Biology Research Programs Unit, University of Helsinki,Helsinki, Finland;

⇒ PubMedで読む[PMID:26280510]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2015 Oct
巻数:100(10)
開始ページ:3918

【背景】

ヘルシンキ大学医学・臨床遺伝学講座のVälimäki Nらによる研究.12例の成長ホルモン産生下垂体腺腫の新鮮凍結組織を用いて全ゲノムシーケンスと一塩基多型アレイ解析を行い,腫瘍細胞における一塩基変異,構造多型,コピー数変異における特徴を求めた.一例のAIP遺伝子変異陽性例を除き,下垂体腺腫発生に関わる既知の胚細胞遺伝子変異を有する患者はいなかった.コーディング領域の体細胞性遺伝子変異はサンガーシークエンスで確認した.

【結論】

全ゲノムシーケンスでは一腫瘍あたり平均129個の体細胞遺伝子多型が認められ,蛋白翻訳領域に限ると平均2.3個の遺伝子多型が認められた.しかし共通した腫瘍発生に関連しうる異常は,GNAS変異(p. Arg 201Cys)および染色体欠失(chromosomes 1, 6, 13, 14, 15, 16, 18, 22)のみであった.体細胞多型解析では一例で複雑な染色体転座が見いだされた.

【評価】

成長ホルモン産生腺腫成因に関わる体細胞性遺伝子変異については,その40〜50%の症例でGNAS遺伝子変異が認められる.それ以外の症例に関して世界中で精力的な検索が行われてきたが,本研究結果を含めて,有力な原因となりうる遺伝子異常は発見されていない.今後は,下垂体腺腫弧発例における腫瘍発生メカニズムの研究は従来のDNA変異解析の手法から,DNAメチル化,ヒストン修飾,非翻訳性RNAなどのエピジェネティックな機構に焦点が移行していくものと思われる.

執筆者: 

有田和徳

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