新たに発見されたクッシング病の原因遺伝子変異:USP8の機能獲得型変異

公開日:

2016年8月15日  

最終更新日:

2017年6月9日

Mutations in the deubiquitinase gene USP8 cause Cushing's disease.

Author:

Reincke M  et al.

Affiliation:

Medizinische Klinik und Poliklinik IV, Ludwig-Maximilians-Universität München, Munich, Germany.

⇒ PubMedで読む[PMID:25485838]

ジャーナル名:Nat Genet.
発行年月:2015 Jan
巻数:47(1)
開始ページ:31

【背景】

USP8蛋白は活性化された増殖因子受容体+ユビキチン結合体からユビキチンを外して,増殖因子受容体のリゾゾームにおける分解を抑制し,受容体を細胞膜にリサイクルする.ドイツ・ミュンヘン大学のReincke Mらは,網羅的ゲノム解析の結果よって,この脱ユビキチン化酵素USP8の変異がクッシング病を引き起こす分子機構を解明した.

【結論】

クッシング病患者から摘出した下垂体腫瘍10検体中4検体でUSP8遺伝子にホットスポット変異が発見された.発見された変異はUSP8蛋白の14-3-3蛋白結合部位に集中していた.このため,変異USP8は蛋白質分解酵素によって切断を受けやすく,この結果生じた変異USP8断片は脱ユビキチン化酵素活性ドメインのみからなり,高い酵素活性を示す.これにより,ユビキチン化されたEGF受容体の過度の脱ユビキチン化を招く.結果として本来リゾゾームで分解されるはずのEGF受容体が分解されずにリサイクルされるため,EGFのシグナル伝達が持続活性化され,細胞増殖とプロオピオメラノコルチンのプロモーター領域の活性化を通した副腎皮質刺激ホルモンの過剰産生につながると考えられる.

【評価】

クッシング病の中には治療困難例があり,時として,予後不良につながることから,新たな治療方法の出現が待ち望まれている.USP8阻害剤はその候補となる可能性がある.

執筆者: 

有田和徳

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