Vol.1, No.2, P.17 公開日:
2016年9月25日最終更新日:
2020年12月10日The Surgical Side Effects of Pseudocapsular Resection in Nonfunctioning Pituitary Adenomas.
Author:
Kinoshita Y et al.Affiliation:
Department of Neurosurgery, Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japanジャーナル名: | World Neurosurg. |
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発行年月: | 2016 Sep |
巻数: | 93 |
開始ページ: | 430 |
【背景】
近年,機能性下垂体腺腫において腫瘍の被膜外除去により高い治癒率が得られ,下垂体機能の温存率も低下していないことが報告されている.最近は非機能性下垂体腺腫においても同様の試みが行われているが,その安全性に関して多数例での検討はない.広島大学のKinoshita Yらは非機能性下垂体腺腫を被膜除去の程度によって3群に分け,手術合併症の頻度を比較した(n=143).
【結論】
被膜全摘出 (n=65),被膜部分摘出(n=11),被膜非摘出(n=67)の3群で比較した.術中髄液漏と一過性尿崩症は被膜全摘出群で多かったが有意差はなかった.その他の合併症もその発生頻度に差はなかった.単変量,多変量解析では被膜全摘出は下垂体機能の独立した悪化因子ではなかった.
【評価】
新たな手術手技に関する論文で一般的に言えることであるが,その安全性と効果はまず,本論文の著者のようなハイボリュームセンターにおけるエキスパートの手によって示される.したがって,その解釈は慎重でなければならず,そのデータが残りの大部分の術者の手術において適応できる訳ではない.たとえば被膜外除去手術も年間20〜30例の施設において,生涯経験症例数が200例にも満たない術者が実施する場合は,相当なリスクが伴うことは,覚悟しなければならない.にもかかわらず,下垂体外科のエキスパートが行えば,相対的に大きな非機能性下垂体腺腫においても,被膜外除去手術が安全に実施できることを示した本論文の意義は大きい.
執筆者:
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参考サマリー