Vol.1, No.2, P.4 公開日:
2016年9月7日最終更新日:
2021年1月19日Mortality in patients with Cushing's disease more than 10 years after remission: a multicentre, multinational, retrospective cohort study.
Author:
Clayton RN et al.Affiliation:
Department of Medicine, Keele University, Stoke-on-Trent, UKジャーナル名: | Lancet Diabetes Endocrinol. |
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発行年月: | 2016 Jul |
巻数: | 4(7) |
開始ページ: | 569 |
【背景】
これまで不明であった,治癒と判定されたクッシング病患者の死亡率と死亡に寄与する因子を明らかにする.対象患者はUK,デンマーク,オランダ,ニュージーランドのセンターで治療され,治癒の判定後10年間寛解状態が持続していた患者320例である.10年目以降の平均追跡期間は11.8年.
【結論】
対象患者のうち51例(16%)が追跡期間内に死亡した.平均生存期間は追跡開始後,女性31年,男性28年で,治癒判定後40年であった.全死因での標準化死亡比(SMR)は1.61 (p=0.0001),循環器疾患によるSMRは2.72(p<0.0001)と健常者より高く,癌によるSMRは0.79と健常者と違いはなかった.糖尿病は死亡に寄与したが(Cox回帰モデル:HR 2.82,p=0.009),高血圧は違った.手術単独によって治癒が達成された患者では,SMRは0.95で健常者と差がなかったが,非-手術単独治癒群ではSMRは2.53(p<0.0001)と健常者より明らかに高かった.
【評価】
治癒判定後10年間寛解状態が持続したクッシング病患者の生命予後に関する後ろ向き研究であるが,標準化死亡比が健常者と一緒であったのは手術単独治癒群のみであったというショッキングなレポートである.非-手術単独治癒におけるどのような因子が標準化死亡比の上昇をもたらすのか,放射線治療の有無か,病悩期間か,治療前の重症度か,下垂体機能低下症の合併か.さらなる解析結果を期待したい.本研究は機能性下垂体腺腫の手術はSurgical Excellence Centerで行うべきであるというもう一つのエビデンスとなっている.
執筆者:
有田和徳関連文献
参考サマリー