下垂体転移:日本における診療の現状

公開日:

2017年4月8日  

最終更新日:

2017年4月25日

Pituitary metastases: current practice in Japan.

Author:

Habu M & Hirano H  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University, Sakuragaoka, Kagoshima, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:26186025]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2015 Oct
巻数:123(4)
開始ページ:998

【背景】

日本における悪性腫瘍の下垂体転移についての全国調査の結果である.下垂体疾患を扱っている可能性のある626病院にアンケートを郵送し,1995〜2010年に治療された201例の下垂体転移の臨床情報が集積された.

【結論】

転移巣の組織診断は34.3%のみで得られていた.原発巣は肺癌(37%),乳癌(23%),腎癌(7%)の順であった.原発腫瘍の発見から下垂体転移の発見まで2.8 ± 3.9(SD)年.症状は視力障害(30%),尿崩症(27%),倦怠感(25%),頭痛(20%),複視(17.4%)の順.27%は手術を受け,75%は放射線治療を受けた(そのうち80%が定位放射線治療).生存期間中央値は12.9ヵ月.

【評価】

剖検では癌の下垂体転移は数%〜約30%と高率に認められるが,臨床的には稀な病態であり,下垂体部腫瘍の1%前後に過ぎない.かつては生命予後数ヶ月の極めて予後不良な疾患と考えられていた. 
本研究は日本で最近治療された患者の臨床データのまとめであるが,生存期間は12.9ヵ月と過去の報告と比較して延長していた.下垂体転移の進行が死因であったのは13.2%で,死因のほとんどは原発巣の進行か,他部位の転移の進行であった.したがって,生存期間の延長は進行癌に対する全身的な治療法の進歩によるところが大きいと思われる.一方,下垂体転移の約60%に対して定位放射線照射が施行されていた.定位放射線照射による下垂体転移巣の良好なコントロールも生命予後の改善に寄与している可能性がある.
下垂体転移の患者の生命予後が長くなるにつれ,本病態がターミナルケア・緩和医療の対象ではなく,QOLの維持と回復を目指した積極的な治療とホルモン補充療法の対象となって来たように思われる.
今後,住民ベースでの前向きレジストリー研究よって,本研究の発見が再確認される必要がある.

執筆者: 

有田和徳

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