USP8の機能獲得型変異によるクッシング病の臨床像と薬剤反応性

公開日:

2016年8月12日  

最終更新日:

2017年6月9日

The USP8 mutational status may predict drug susceptibility in corticotroph adenomas of Cushing’s disease

Author:

Takeshita A  et al.

Affiliation:

Departments of Endocrinology and Metabolism, Toranomon Hospital,Tokyo, Japan,

⇒ PubMedで読む[PMID:26578638]

ジャーナル名:Eur J Endocrinol.
発行年月:2016 Feb
巻数:174(2)
開始ページ:213

【背景】

2014年,Reinckeらによって初めて報告されたUSP8の機能獲得型変異によるクッシング病患者の臨床病理所見に関する日本からの報告.対象はクルッケ細胞腺腫を含むACTH産生下垂体腺腫(クッシング病)の60例.USP8遺伝子異常の検出にはqRT-PCRと免疫染色の両者か,あるいはどちらかを用いた.

【結論】

全体では21例(35%)にUSP8の遺伝子異常が発見された.クルッケ細胞腺腫では13.3%, 非クルッケ細胞腺腫では42.2%.USP8遺伝子変異群は1例を除いて全て女性で,microadenomaが多く,手術で根治できる症例が多かった.同遺伝子変異陽性例では,POMC, SSTR5, MGMTの発現量が有意に高かった.USP8遺伝子異常群では,SSTR5に高い親和性を有するソマトスタチン作動薬であるパシレオチドの効果が予想される.一方,クルッケ細胞腺腫のようなUSP8遺伝子異常を伴わない浸潤性のACTH産生腺腫では MGMT発現が低いのでアルキル化剤であるテモゾロミドが有効である可能性がある.

【評価】

最近発表された新たなACTH産生下垂体腺腫の原因遺伝子であるUSP8遺伝子変異陽性腫瘍の臨床的特徴を探索した研究で,USP8遺伝子変異陽性群と陰性群の臨床像の違いを明らかにした.USP8の遺伝子異常群ではPOMCを強発現する微小腺腫が多いことが,微小腺腫でありながら早期に臨床症状を呈する理由かも知れない.さらには薬物療法に対する反応性の違いを予測した臨床的な価値の高い論文である.

執筆者: 

有田和徳

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