再発神経膠芽腫の造影部分完全摘出は全生存期間の延長をもたらす:DIRECTORトライアルの結果から

公開日:

2016年10月29日  

最終更新日:

2017年6月9日

Complete resection of contrast-enhancing tumor volume is associated with improved survival in recurrent glioblastoma-results from the DIRECTOR trial.

Author:

Suchorska B  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Ludwig-Maximilians University Munich, Munich, Germany

⇒ PubMedで読む[PMID:26823503]

ジャーナル名:Neuro Oncol.
発行年月:2016 Apr
巻数:18(4)
開始ページ:549

【背景】

神経膠芽腫(GBM)の再発に対する再手術の意義を求めるために,ドイツMunich大学のSuchorskaらは,再発膠芽腫に対するテモゾロミド用量強化レジメン比較試験(DIRECTOR)の前向きコホートから摘出度と臨床転帰の結果を検討した(n=105).

【結論】

71例が初回再発時,摘出手術を受けた.手術群(71例)と非手術群(34例)でMGMTメチル化,KPSなどの予後規定因子に差はなかった.手術群と非手術群では再発後無増悪生存期間(PFS2),再発後生存期間(PRS)には差がなかった.再手術群で術後画像評価が可能であった59例では造影部分の完全摘出群(40例)では造影部分残存群(19例)に比較して,PRSが有意に長く(p=0.001),QOLも良好であった.不完全摘出群では手術を受けない群よりPRSは短かった(p=0.052).

【評価】

本研究は,再発GBMに対する高用量テモゾロミド2アームのRCTの臨床データを用いたものである.本研究では薬物療法ランダマイゼーション前の再手術の有無ならびに摘出度(造影部分の全摘出 vs. 腫瘍残存)と無増悪生存期間(PFS2),再発後生存期間(PRS)の関係を評価している.この研究が可能であったのは,既報の如く,2アームでPRSに全く差がなかったからである(文献2).
本報告も既報のイタリアの 764例, North American Brain Tumor Consortium (NABTC)の758例での検討と同様,再手術の有無はPFS2,PRSに影響を与えなかった.しかし,本報告では再手術によって全造影病変の除去が確認できたものでは,腫瘍残存群(再手術を受けなかった群+再手術後腫瘍残存群)に比較してPFS2,PRSとも有意に長かった(個々に,p=0.025, p=0.007).
一方,31報を対象とした最近のメタアナリシスでは,29報で再手術が生命予後や機能予後への効果をもたらしている(文献3).最近のオーストラリアからの報告(文献1)では再手術は生存期間を有意に延長させるが,既知の予後不良因子を有する患者を除去すると,その差は少なく.また多変量解析では,再手術は予後予測因子でなかった.
このように再発GBMに対する手術療法の意義はまだ固まっていない.現在,この課題に関してはヨーロッパでRCT(NCT 02394626, RESURGE)が開始されており,その結果に期待したい.

執筆者: 

有田和徳

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