分子分類を考慮したうえでの髄芽腫摘出度の予後への影響

公開日:

2016年8月18日  

最終更新日:

2017年9月1日

Prognostic value of medulloblastoma extent of resection after accounting for molecular subgroup: a retrospective integrated clinical and molecular analysis.

Author:

Thompson EM  et al.

Affiliation:

Division of Neurosurgery, The Hospital for Sick Children, Toronto, ON, Canada

⇒ PubMedで読む[PMID:26976201]

ジャーナル名:Lancet Oncol.
発行年月:2016 Apr
巻数:17(4)
開始ページ:484

【背景】

髄芽腫手術後の腫瘍残存は生命予後不良の原因と考えられており,セカンドルック手術の対象となったり,強化化学療法の対象となったりする.しかし,これまでの摘出率を重視する報告は近年報告された分子分類を考慮していない.トロントThe Hospital for Sick ChildrenのThompson EMらは,Medulloblastoma Advanced Genomics International Consortiumの参加施設から摘出度,生命予後のデータを収集した(n=787).

【結論】

摘出量は肉眼的全摘出群(MRIで残存腫瘍なし),ほぼ全摘出群(残存腫瘍面積<1.5c㎡),亜全摘出群(残存腫瘍面積>1.5c㎡)の3群に分けた.全症例では肉眼的全摘出群では亜全摘出群に比較してPFSにおける利益は認められたが(p=0.016),OSにおける利益は認められなかった.一方,ほぼ全摘出群に対しては,肉眼的全摘出群のPFS,OSにおける利益は認められなかった.肉眼的全摘出群の亜全摘群に対するPFSあるいはOS上の利益は認められなかった.WNT, SHH, グループ3の3群では腫瘍の切除率増加による生存期間に対する利益は認められなかった.グループ4では,肉眼的全摘出は亜全摘出に比較してPFSにおける利益をもたらした(p=0.0056).しかし,OSにおける利益はなかった.

【評価】

髄芽腫は時として脳幹に浸潤しており,このような症例で全摘出をめざすと重篤な脳幹症状を引き起こすことがあり,結果として手術後の放射線化学療法の遅れや不十分さにつながる.本研究の結果から初回手術中に,脳幹損傷のリスクを冒してまで肉眼的全摘出にこだわる必要がないことが明らかになった.また,小さな残存腫瘍に対するセカンドルック手術に関してもグループ4以外の腫瘍では,その臨床的意義に疑問を呈するものとなった.本研究結果に基づいて作られたsurvival monogram (Figure 3)は使いやすく,簡単に生存期間の予測が可能になっている.

執筆者: 

有田和徳

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