意識障害から回復した脳における脳内ネットワークの横断的マルチモダールイメージング

公開日:

2016年9月16日  

最終更新日:

2017年6月9日

Neural correlates of consciousness in patients who have emerged from a minimally conscious state: a cross-sectional multimodal imaging study.

Author:

Carol Di Perri  et al.

Affiliation:

Coma Science Group, GIGA Research, Université et Centre Hospitalier Universitaire de Liège, Liège, Belgium

⇒ PubMedで読む[PMID:27131917]

ジャーナル名:Lancet Neurol.
発行年月:2016 Jul
巻数:15(8)
開始ページ:830

【背景】

健常人において,デフォルトモードネットワーク(DMN)とタスクポジティブネットワーク(TPN)が認知機能,特に内界と外界の情報処理の切り替えに関与するとして注目されているが,意識障害から回復した脳ではこれらの脳内ネットワークはどうなっているのか.ベルギーCentre Hospitalier Universitaire de LiègeのDi Perriらは脳イメージング(FDG-PET, MRI, f-MRI)により,最小意識状態(MCS)から覚醒した患者(n=13)における意識に相関した脳活動(意識の神経相関)を,意識障害患者(無反応覚醒症候群UWS n=21;最小意識状態MCS n=24)および健康な対照群(n=35)と比較した.

【結論】

意識レベル依存性にネットワーク内相関,ネットワーク間反相関,脳代謝,灰白質容積はいずれも増強または増加した.ネットワーク内相関は全患者vs対照群で差がみられたが,患者群間で差は認められなかった.ネットワーク間での反相関は対照群およびMCSから覚醒した患者群でのみ確認され,UWS群とMCS群ではネットワーク間で病的な過剰接続がみられた.

【評価】

意識障害からの回復には,主要な脳内ネットワーク間の協調のみでなく,これらの競合も重要であるとの報告である.また,脳代謝はネットワーク内相関,ネットワーク間反相関と関連し,灰白質容積は群間で差がなかったため,ネットワーク間の反相関関係はニューロンを基盤としており,形態学的変形のみでは説明されないようである.fMRI, FDG-PETを用いて得られたこれらの結果は,意識障害患者の予後予測や診断能向上,さらに将来的には新たな治療法の開発に繋がる可能性があるとしている.なお,対象患者の62%は頭部外傷が意識障害の原因で,無酸素脳症が続いている.平均年齢は43歳で,受傷後からの期間は平均27カ月であった.

執筆者: 

宇田川梨紗   

監修者: 

有田和徳

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