本態性振戦に対する集束超音波視床破壊術は有効か

公開日:

2016年11月5日  

最終更新日:

2017年6月9日

A Randomized Trial of Focused Ultrasound Thalamotomy for Essential Tremor.

Author:

W. Jeffrey Elias, M.D.  et al.

Affiliation:

University of Virginia Health Sciences Center, Charlottesville

⇒ PubMedで読む[PMID:27557301]

ジャーナル名:N Engl J Med.
発行年月:2016 Aug
巻数:375(8)
開始ページ:730

【背景】

本態性振戦に対する集束超音波視床破壊術は,その有効性がこれまで複数の予備試験で示唆されてきた.University of Virginia Health Sciences CenterのEliasらは,治療抵抗性の本態性振戦に対する集束超音波視床破壊術の有用性をRCTで検証した.振戦の評価には臨床的評価尺度(CRST)を,QOLは本態性振戦GOL質問票(QUEST)を用いた〔n=76(実処置群56名,対照:偽処置群20名)〕.

【結論】

手の振戦スコアは,偽処置群(ベースライン16.0 ポイント,3カ月時15.8ポイント)よりも実処置群(ベースライン時18.1 ポイント, 3 カ月時9.6 ポイント)でより改善が認められた.2群間の平均変化の差は8.3 ポイントであった(95%CI, 5.9〜10.7; p<0.001).実処置群の改善は,12カ月後の時点でも維持されていた.障害やQOLなどの二次アウトカムも,実処置群では,偽処置群と比較して改善した(p<0.001).実処置群で生じた有害事象には歩行障害36%,感覚異常・無感覚が38%あり,12カ月後で各々9%と14%に認められた.

【評価】

本態性振戦に対する治療法には,視床Vim核の破壊・抑制を目的として,本研究の対象となった集束超音波視床破壊術の他にも,定位的高周波凝固手術,脳深部刺激手術(DBS),ガンマナイフ治療などいずれも長い歴史をもった治療法が存在する.
本RCTにより集束超音治療の本態性振戦の改善効果が実証された.一方,集束超音治療は脳にプローブや電極を挿入する必要性がない,放射線を用いないという非侵襲性がメリットとされてきた.本研究でも,重篤な合併症は生じていないが,歩行障害や感覚障害の発生頻度は30%を越えており,12カ月後でも10%前後でそれらの障害が残っている.これらのリスクは他の手術治療と同様,あるいはそれ以上かも知れない.本研究は集束超音治療が最も安全かつ有効というエビデンスを示したわけではなく,今後,他の治療法との前向きの比較試験が行われる必要性がある.

執筆者: 

原裕明   

監修者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する