Vol.1, No.3, P.10 公開日:
2016年12月24日最終更新日:
2021年1月26日Human chorionic gonadotropin detection in cerebrospinal fluid of patients with a germinoma and its prognostic significance: assessment by using a highly sensitive enzyme immunoassay.
Author:
Fukuoka K et al.Affiliation:
Saitama Medical University International Medical Centerジャーナル名: | J Neurosurg Pediatr. |
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発行年月: | 2016 Nov |
巻数: | 18(5) |
開始ページ: | 573 |
【背景】
一部のジャーミノーマ(胚種)患者においてヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)が検出されることが報告されているが,その頻度や予後は不明である.埼玉医科大学国際医療センターのFukuokaらは,従来の方法より100倍以上感度の高い免疫複合体転移酵素免疫測定法(ICT-EIA)を用いて,胚種患者の血清・脳脊髄液中HCG値を測定し,HCGと予後の関連を解析した(n=35).
【結論】
脳脊髄液中HCG中央値は,治療前192.5pg/ml (1.2〜13,116.5pg/ml),治療後18.7pg/ml (1.2〜283.9pg/ml)であった.85.7%の患者で,治療前の脳脊髄液中HCG値は非病者の上限より高かった.カットオフ値を1,000pg/mlとして患者の無増悪生存率(PFS)を比較すると,>1,000pg/mlの群で有意に低かった(p=0.029,log-rank test).
【評価】
ほとんどの胚種はHCGを髄液中に分泌するという結果であり,いわゆるHCG産生胚種の呼称は余計なものとなっている.脳脊髄液中に多量(>1,000pg/ml)に分泌される患者では再発の頻度が高く予後の推定には役立つであろう.一方,血清中HCGは再発率に影響しなかった.現在,一般に臨床の場で用いられている螢光酵素免疫測定法での測定値(mIU/mL)との換算式が示されていないので,現段階で,この研究結果を一般的に利用することはできない.今後,早急にそのような研究が行われることが必要である.また,髄液中placental alkaline phosphatase(PLAP)との関係も今後明らかにされることを期待する.
著者らも述べているが,頭蓋内胚種の研究で常に問題となるバイオプシーサンプルが腫瘍の全体像を反映しているかわからないという点は心にとめて置く必要性がある.
関連文献
参考サマリー