Vol.2, No.2, P.6 公開日:
2017年3月26日最終更新日:
2018年5月29日Estimated ventricle size using Evans index: reference values from a population-based sample.
Author:
Jaraj D et al.Affiliation:
Institute of Neuroscience and Physiology, University of Gothenburg, Gothenburg, Swedenジャーナル名: | Eur J Neurol. |
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発行年月: | 2017 Mar |
巻数: | 24(3) |
開始ページ: | 468 |
【背景】
従来,特発性正常圧水頭症(iNPH)診断における脳室拡大の指標としてEvans index(EI)>0.3が用いられてきた.しかし,高齢者における住民ベースでのEIのデータはない.スウェーデン,ヨーテボリ大学のJaraj Dらは70歳以上の住民1,235例のサンプルを基にEIの値を求めた.この対象サンプルは一般住家と老人ホームに住んでいる一般人口からスウェーデンの人口統計に基づいて抽出された.
【結論】
70歳以上の住民におけるEIは0.11- 0.46であり,平均 0.28±0.04(SD)であった.20.6%(n = 255)の患者はEI >0.3であった.80歳以上に限ると,EIは0.3±0.03であった.認知症状がある住民ではEIは0.31±0.05であった.iNPHの画像所見がある患者ではEIは0.36±0.04であった.
【評価】
高齢者では,脳室径が大きくなっているのは医療現場では良く知られているが,本研究は,Evans indexという堅牢な指標を用いて,そのことを証明した. これまで,そんな事がわからなかったのかという論文であるが,IF 4.0のジャーナルで採用されたのは,住民ベースの大規模調査であることへの評価であろう.一方,iNPHに特徴的な髄液の脳内分布としては,側脳室のZ軸方向( 体軸に対して垂直方向)への拡大と高位円蓋部の脳溝の狭小化が特徴的とされている. これらの所見と高齢者の脳室拡大との関連が,今後の研究課題と思われる.
関連文献
参考サマリー