腰椎後方手術における体位による合併症の特徴

公開日:

2017年4月6日  

最終更新日:

2017年5月4日

Lumbar spine surgery positioning complications: a systematic review.

Author:

Shriver MF  et al.

Affiliation:

Case Western Reserve University School of Medicine, 2109 Adelbert Rd., Cleveland, OH 44106.

⇒ PubMedで読む[PMID:26424340]

ジャーナル名:Neurosurg Focus.
発行年月:2015 Oct
巻数:39(4)
開始ページ:E16

【背景】

腰椎後方手術では,様々な体位(prone, kneeling, knee-chest, knee-elbow, lateral decubitus position)が用いられるが,それぞれ体位にまつわる四肢体幹の合併症が起こりうる.著者らは,Medline,Scopus,Web of Scienceから,腰椎手術での体位によって起こった合併症についての報告を34報抽出して検討した.

【結論】

視力障害が最も多い合併症で,それ以外にも眼瞼浮腫,眼窩のコンパートメント症候群,神経麻痺,血栓塞栓による合併症,褥瘡,下肢のコンパートメント症候群,肩脱臼などが報告されていた.腹臥位手術では手術時間と合併症出現率には相関があり,2時間未満の手術では3例の報告のみであったが,2時間以上では16例の報告を認めた.腹臥位以外の体位では手術時間と合併症出現率に関連は認めなかった.最も報告の多かった視力障害の予防には,術中の眼球保護,頭位や体位の確認,頭部のフレーム固定などが有効と考えられる.

【評価】

本稿は腰椎後方手術で用いられる様々な体位での体位関連合併症を調べたシステマティックレビューである.四肢体幹の褥瘡,深部静脈血栓などは通常注意されている項目である.

筆者らのレビューでは,視力に関する報告(視力障害,閉塞隅角緑内障,眼瞼浮腫)が最も多かった.視力障害の原因として眼球圧迫,head down position,長時間手術,過剰輸液,貧血,低血圧などが挙げられていた.腰椎後方手術後の視機能障害は稀な合併症であるが発症した際のQOLへの影響は大きいため,改めて術前チェック項目に含める必要があると思われた. 術前危険因子の排除,複数名での体位のチェック,術中全身管理の把握は重要であるし,頭部固定はピン固定が無難であろう.

その他,並存する脊柱管狭窄症に対する配慮,口腔内合併症の問題(咬傷など),肩関節脱臼への配慮など手術操作以外に起こりうる合併症は多岐に渡り,術者側の意識向上は重要であるが,術前に患者側と情報共有することも大切である.

執筆者: 

山畑仁志   

監修者: 

有田和徳

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