Vol.2, No.2, P.12 公開日:
2017年4月9日最終更新日:
2021年2月1日Immunosuppressive tumor-infiltrating myeloid cells mediate adaptive immune resistance via a PD-1/PD-L1 mechanism in glioblastoma.
Author:
Antonios JP et al.Affiliation:
Department of Neurosurgery, University of California Los Angelesジャーナル名: | Neuro Oncol. |
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発行年月: | 2017 Jun |
巻数: | 19(6) |
開始ページ: | 796 |
【背景】
近年,膠芽腫に対する免疫療法のひとつである樹状細胞(DC)ワクチン療法の研究が広く行われている.これは腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を人工的に増殖・活性化させる手法だが,PD-L1を介した治療抵抗に遭う事実も分かってきた.本研究ではphaseⅠ,ⅡDCワクチン臨床試験(NCT00068610,NCT01204684)参加患者の腫瘍サンプルを用いて担癌マウスを作製し,DCワクチンに対する治療抵抗の機序を調査した.またDCワクチン,PD-1阻害剤,CSF-1R阻害剤について,単剤使用時・併用時の治療効果を判定した.
【結論】
DCワクチン療法に反応して増加する,腫瘍浸潤性骨髄系細胞(TIM)が同定された.治療抵抗性の本態は,TILの放出するIFNγに反応してTIMがPD-L1を発現するというものであった.ヒト腫瘍サンプルに対し,従来のDCワクチン+PD-1阻害剤に加えCSF-1R阻害剤を併用することで有意なTIM減少,TIL増加を認め,腫瘍細胞溶解が亢進した.また,マウスモデルでも3剤併用時に有意な生存期間延長を認めた.
【評価】
筆者らは過去に,DCワクチンに対する治療抵抗性は腫瘍細胞自体がPD-L1を発現しTILを抑制するためという仮説を立てたが,それに反して本稿ではPD-L1発現の原因はTIMであることが示された.CSF-1R阻害剤はTIMを減少し治療抵抗性を改善したが,その機序はPD-1/PD-L1経路の阻害ではなく走行因子,アポトーシス,Jak/STATシグナル因子の増加を介したものだと示唆された.
2017年現在,PD-1モノクローナル抗体は2つが認可済み,CSF-1R阻害剤(PLX3397)はphaseⅢの治験中である.本研究の治療内容は臨床研究に直接適用可能で,ワクチン治療を受けたGBM患者に対するこれらのアジュバンド療法の応用が期待される.
参考サマリー