アルツハイマー病に対する脳深部脳刺激で海馬体積が回復

公開日:

2017年4月19日  

最終更新日:

2017年4月25日

Deep Brain Stimulation Influences Brain Structure in Alzheimer's Disease.

Author:

Sankar T and Lozano AM  et al.

Affiliation:

Division of Neurosurgery, University of Toronto, Toronto, Ontario, Canada

⇒ PubMedで読む[PMID:25814404]

ジャーナル名:Brain Stimul.
発行年月:2015 May-Jun
巻数:8(3)
開始ページ:645

【背景】

アルツハイマー病に対する 脳深部脳刺激(脳弓)で脳の構造がどう変わるかについての検討である.対象はDBS治療を受けたアルツハイマー病患者群6例,コントロールは性・年齢・重症度をマッチさせたDBS非治療のアルツハイマー病患者群25例.

【結論】

DBS開始後1年,6例中2例で海馬体積が両側性に増加した.この2例中1例ではアルツハイマー病の重症度が改善した.他の1例では1年後のアルツハイマー病の重症度の進行が少なかった.6例とも脳弓や乳頭体の体積増大は認められなかったが,この2例では体積の減少が少なかった.海馬体積の増加は複数の検査者で評価が一致しており,またDBS開始後3年目でも維持されていた.海馬体積が増加していた2例では海馬の糖代謝(FDG-PET)も改善していた.
DBS非治療群との比較ではDBS群において,1年後の海馬体積の減少率が有意に少なかった.

【評価】

本論文では,アルツハイマー病に対する 脳深部脳刺激(脳弓)で海馬体積低下が抑制され,中には海馬体積が増大する例もあることを報告した.また,海馬体積減少の抑制の程度は,脳弓や乳頭体の体積減少の抑制程度と良く相関していた.アルツハイマー病に対するDBSが海馬を中心としたPapez回路に可塑的な変化を与えていることを推測させる.このような,DBSによる解剖学的可塑的な変化はラットやマウスを用いた実験では証明されているが,人においてはこれまで報告されていない.
アルツハイマー病に対するDBSは既に数十例規模の治験が進行中であるので,それらの大規模集団で,同様なvolumetryが実施されるべきであるし,DBSによる神経可塑性のメカニズムについての解明も近未来の課題である.

執筆者: 

有田和徳

関連文献


メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する