Mr CLEAN 2年後の転帰,血栓回収治療の優位性を再確認

Vol.2, No.2, P.16 公開日:

2017年4月21日  

最終更新日:

2021年2月1日

Two-Year Outcome after Endovascular Treatment for Acute Ischemic Stroke.

Author:

van den Berg LA  et al.

Affiliation:

Division of Neurosurgery, Department of Surgery, University Health Network, University of Toronto, Toronto, ON, Canada

⇒ PubMedで読む[PMID:28379802]

ジャーナル名:N Engl J Med.
発行年月:2017 Apr
巻数:376(14)
開始ページ:1341

【背景】

オランダ発の脳梗塞急性期の血栓回収療法RCT,Mr CLEANが世界の脳卒中の急性期治療に激震を与えて2年が経った.前回は発症90日目のデータであったが,治験チームは,そのコホートをさらに追跡し,2年目の臨床所見を血栓回収群と従来法群とで比較検討した(n=500;臨床追跡率78.2%;生存追跡率91.8%).

【結論】

2年目のmRSの中央値は血栓回収群3に対して従来法群4で,修正共通オッズ比:1.68;95%,P=0.007であった.QOLスコア中央値は血栓回収群0.48で,従来法群0.38に比較して有意に高かった(p=0.006).累積死亡率は,血栓回収群は従来法群よりやや低かった(26.0% vs. 31.0%, p=0.46).

【評価】

勝負あった感の報告で,今後,血栓回収が出来ない施設では脳卒中の急性期治療は出来なくなる可能性が出てくる.地域医療圏毎の救急搬送の流れにも影響を与えるであろう. 今回,有意差が出なかった累積死亡率であるが,90日ではその差は全く無かったが(21% vs. 22% ),2年目(26.0% vs. 31.0%)以降経年的に開いてきている.一方,血栓除去に伴う血管壁の障害があるとすれば,それが慢性期に主幹動脈の狭窄や閉塞,あるいは動脈瘤の形成をもたらすことは無いのかという危惧については応えられていない.今後,多数例での長期フォローアップによる検討が必要である.

執筆者: 

有田和徳

参考サマリー