OEF増加は成人もやもや病の虚血性脳卒中のリスク因子か:米国における検討

公開日:

2017年5月3日  

最終更新日:

2017年5月9日

Baseline Hemodynamic Impairment and Future Stroke Risk in Adult Idiopathic Moyamoya Phenomenon: Results of a Prospective Natural History Study.

Author:

Derdeyn CP  et al.

Affiliation:

Department of Radiology, University of Iowa Hospitals and Clinics, Iowa City, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:28283605]

ジャーナル名:Stroke.
発行年月:2017 Apr
巻数:48(4)
開始ページ:894

【背景】

成人もやもや病の虚血性脳卒中のリスク因子については未だ不明である.本研究では米国人のもやもや病患者において脳酸素摂取率(OEF)の上昇が,その後の虚血性脳卒中の予測因子であるか否かを検討した.患者は18歳以上の49例(白人36例,黒人11例,アジア人2例,ヒスパニック1例)のもやもや病患者で,診断のきっかけは34例が脳虚血イベント,6例が脳内出血であった.

【結論】

中央値3.7年の経過観察を行った.49例全体では4例に虚血性脳卒中が起こった.OEFが測定された79側半球のうち21側でOEFの上昇が認められた.この21側のうち虚血イベントは一側にも起こらなかった.全体で20側に中央期間5.3年後に,血行再建手術が実施され,打ち切りとなった.

【評価】

従来の欧米発のもやもや病の疫学研究では,同側虚血イベント発生率は,年間約10%と高率である.本コホート観察研究は米国中西部におけるもやもや病患者の脳卒中リスクファクターを検討したものであるが,予想に反して虚血イベントの発症率は低かった.また,通常の動脈硬化性虚血性脳疾患のリスク因子であるOEF高値も,成人もやもや病患者おける虚血イベントのリスク因子とはならなかった.
本研究で興味深いのは,アジア人におけるもやもや病の臨床像との対比である.米国におけるもやもや病は女性にはるかに多く(1:3),これに対して,アジア人では男女比は1:2くらい.アジア人におけるもやもや病の発症には小児期(5歳前後)と成人期(35歳前後)の2つのピークが認められ,成人期のもやもや病では約半数が出血発症であるのに対して,本研究の対象例では8割以上が虚血発症であった.
本研究は,一次エンドポイントが少なく,かつ打ち切り例が多く,全体としてみれば,failed studyであるが,このような論文でも雑誌Strokeに掲載されるのは,白人において,もやもや病が極めて稀であることを反映しているものと思われる.

執筆者: 

有田和徳

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