局所性上肢ジストニア(書痙,音楽家ジストニア)に対する視床腹吻側核破壊手術の効果:東京女子医科大学における171例の経験

公開日:

2019年2月12日  

最終更新日:

2021年2月18日

【背景】

ジストニアは持続的な筋収縮によって捻転やパターン化された反復性の運動を示す不随意運動であり,全身性,片側性,局所性がある.局所性ジストニアは,上肢の特別な動作を行う時にのみ出現することが多く,動作特異性局所上肢ジストニア(Task-specific focal hand dystonia: TSFD)と呼ばれる.TSFDには,一般人で認められる書痙が良く知られているが, 音楽家(文献1),美容師,射撃手,テニス選手,ジャグラーなど職業的に手の巧緻運動を繰り返す職業人でしばしば認められ,このため専門キャリアの中断につながることも多い.治療としてはボツリヌストキシン局所注入,精神安定剤,理学療法,脳深部刺激(DBS)などが試みられてきたが,充分な効果を示していない.Tairaらは,この動作特異性局所上肢ジストニアに対して15年以上前から視床腹吻側核(VO核)破壊術を行ってきており,今回連続171例の治療成績を明らかにした.