脳海綿状血管腫の分子メカニズムと新しい治療戦略:レビュー

公開日:

2019年5月24日  

最終更新日:

2021年7月20日

【背景】

脳海綿状血管腫に対する治療としては手術療法以外に有効なものはなく,脳深部や脳幹部の海綿状血管腫では手術によるリスクも高い.本レビューは,脳海綿状血管腫の発生に関わる分子遺伝学的背景に関する最近の知見と,それに基づいた新たな治療法の探索について紹介している.
家族性のものは20%を占め,不完全浸透型の常染色体優性遺伝を示す.家族性のものはしばしば多発し増大しやすく,早期に症候性となる.その大部分はCCM(cerebral cavernous malformation)1(KRIT1),CCM2(MGC4607),CCM3(PDCD10)の3個の遺伝子のうち1個の機能喪失型変異によって起こる(文献1).CCM遺伝子変異は孤発性の脳海綿状血管腫でも認められることがある.