脳出血後の抗血小板剤投与は脳出血の再発リスクを低くする?:英国におけるRCT(RESTART)

公開日:

2019年6月10日  

最終更新日:

2019年6月14日

Effects of antiplatelet therapy after stroke due to intracerebral haemorrhage (RESTART): a randomised, open-label trial.

Author:

RESTART Collaboration  et al.

Affiliation:

Centre for Clinical Brain Sciences, University of Edinburgh, Edinburgh, UK

⇒ PubMedで読む[PMID:31128924]

ジャーナル名:Lancet.
発行年月:2019 
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

脳出血を起こした患者では,その後の出血性あるいは虚血性イベントのリスクが高いことが知られている.現在,先進国では,脳内出血患者の1/3以上が出血発生時に抗血栓剤を服用している(文献1).この研究は,脳出血後の抗血小板剤投与が,脳出血再発に及ぼす影響を明らかにするために,英国122病院で実施されたオープンラベルRCTである.対象は537例で,脳出血発発生時に抗血栓剤が投与されており,発生後に中止され,24時間以上生存した患者である.抗血小板剤投群と非投与群に分け,中央値2年間,最長5年間追跡した.62%が脳葉型血腫であった.

【結論】

出血発症後中央値76日に,268例は抗血小板剤がスタートされ,269例は抗血小板剤を避けるように割り付けられた.抗血小板剤投与群では,非投与群に比較して,脳内出血の再発,大出血イベントの発生は少なく,調整後ハザード比(aHR)は,0.5(4% vs 9%,p=0.060).と0.71(7% vs 9%,p=0.27)であった.重症な血管閉塞性イベント発生は同等でaHR 1.02(15% vs 14%,p=0·92)であった.抗血小板剤による脳出血再発のリスク増大は,良く確立された抗血小板剤投与の利益に比べれば,おそらく極めて小さいと思われた.

【評価】

著者等は,この試験は,僅かなリスク増加を除けば,抗血小板剤による脳出血後の再出血や大出血リスクを排除しており,結果として,脳出血後の患者における,閉塞性動脈性疾患の予防のための抗血小板剤投与の安全性を再確認することになったと結論している.ちなみに,脳出血の調整後ハザード比は0.5(4% vs 9%,p=0.060)で2群間に有意差はないが,sensitivity analysis(感度解析)では0.49(p=0.044)で抗血小板剤投与群の方が有意に低くなっている.このことが,抗血小板剤による脳出血後の再出血予防効果を意味するのか,現在進行中のRCT(RESTART-Fr NCT02966119とSTATICH NCT03186729)やRESTARTグループのプール解析の結果に期待したい.
一方,脳梗塞の発生率は抗血小板剤投与群で7%,抗血小板剤非投与群で10%であったが,統計学的な差異については語られていない.この点に関しても近い将来明らかになるであろう.

執筆者: 

菅田淳   

監修者: 

鮫島芳宗

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