腫瘍の浸潤部位ならびにCD133発現と初期治療後の遠隔再発に相関はあるか:脳室下帯そして皮質との関係は

公開日:

2020年2月14日  

最終更新日:

2020年2月15日

Relationships between recurrence patterns and subventricular zone involvement or CD133 expression in glioblastoma.

Author:

Yamaki T  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Faculty of Medicine, Yamagata University,Yamagata, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:32020479]

ジャーナル名:J Neurooncol.
発行年月:2020 Feb
巻数:146(3)
開始ページ:489

【背景】

CD-133は良く知られた幹細胞と癌幹細胞のマーカーである.脳神経の幹細胞は脳室下帯(SVZ)に存在することが知られている(文献1).山形大学のYamakiらは,膠芽腫の脳室下帯や皮質への接触と膠芽腫細胞におけるCD-133発現が初期治療(手術+ACNU or TMZ+放射線)の後の遠隔再発に与える影響を検討した.167例の腫瘍は術前MRIでの造影部分と脳室下帯への接触,あるいは皮質への浸潤との関係で4つのパターンに分けた.遠隔転移とは原発腫瘍の辺縁から3cm以上離れた新規病変か多巣性再発と定義した.167例中,遠隔再発は35例(21%)で認められた.

【結論】

CD133発現は脳室下帯との接触が認められた腫瘍群で有意に高かった(p=0.046).CD133強発現群(≧15%)では単変量,多変量, 傾向スコアマッチングでも遠隔再発までの時間が有意に短かった.遠隔再発は腫瘍が皮質に浸潤しているが,脳室下帯に接触しておらず,CD133が高発現している腫瘍群で最も高頻度であった(70%).

【評価】

一見すると意外な結果に見える.腫瘍が脳室下帯に接触し,かつCD133陽性細胞が高発現している腫瘍では,抗癌剤,放射線照射に打ち勝ちやすい腫瘍幹細胞が多いので,遠隔再発も多そうである.しかし,実際は皮質に浸潤する腫瘍でCD133陽性率が高い群で遠隔再発が多いという結果であった.
この理由として著者等は,CD-133陽性幹細胞がその起始部である脳室下帯から皮質まで遊走したのであれば(遊走能が高いという意味か),当然遠隔再発はしやすいであろう事を挙げている.もう一つは,脳室下帯には接触せず皮質側のみに存在する腫瘍は全摘-局所コントロールが得られ易いために,結果として再発は遠隔に多くなるという可能性を挙げている.追試されるべき重要な知見である.
なお,多変量解析では腫瘍の肉眼的全摘,MGMTメチル化はOS延長と相関していた(p=0.004,p=0.005).

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

内田裕之

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する