脊髄髄膜腫の病態:MRI所見と臨床像の相関

公開日:

2020年2月14日  

最終更新日:

2020年2月15日

Differences and characteristics of symptoms by tumor location, size, and degree of spinal cord compression: a retrospective study on 53 surgically treated, symptomatic spinal meningiomas.

Author:

Yamaguchi S  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, University of Iowa Hospitals and Clinics, Iowa City, Iowa, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:32005026]

ジャーナル名:J Neurosurg Spine.
発行年月:2020 Jan
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

髄膜腫は原発性脊髄腫瘍の中では神経鞘腫に次ぐ頻度で24.4~36%を占める.University of IowaのYamaguchiらは,MRI所見との臨床像との相関を求めた.対象は過去6年間に経験した症候性脊髄髄膜腫の53例症例(頭蓋頚椎移行部:13例,C3-7:6例,T1-12:34例).WHO grade 1: 50例,grade 2: 3例.

【結論】

筋力低下と感覚障害は頸随レベルより胸髄レベルに多く(p<0.001,p=0.013),疼痛は頭蓋頚椎移行部に多かった(p<0.001).
腫瘍のアタッチメント(脊髄の前か後ろか横かなど),上下径,前後径,左右径,腫瘍体積とこれらの症状発現との関係はなかった.筋力低下と感覚障害があるケースでは,脊柱管断面積に対する腫瘍の面積占拠率(%)と脊髄扁平化率(%)が有意に大きかった.多変量解析では,面積占拠率は筋力低下と痛みの独立した相関因子であった.ROC解析では,腫瘍の面積占拠率64%が感度100%,特異度85.7%で筋力低下を予測し得た.

【評価】

本論文は,脊髄髄膜腫のMRI所見と臨床症状の相関を明らかにしたという意味で画期的である.特筆すべきは,筋力低下や感覚障害は腫瘍の大きさではなく,脊柱管断面に対する面積占拠率と脊髄扁平化率(%)が相関したという事実,疼痛は胸椎レベルより頭蓋頚椎移行部や頚椎レベルの腫瘍で多かったという事実,また面積占拠率の閾値64%が高い精度(AUC:0.946)で筋力低下を診断したという事実である.これらの事実は今後診断や治療方針の決定に重要な情報をもたらすものと思われる.
一部の神経内科的疾患を除けば疾患固有の症候を詳細に検討した脊髄疾患についての研究は意外に少ない.小さな断面積に沢山の神経路が詰まった脊髄という臓器では,多くの症状がoverlapするため原因疾患が何であれ(腫瘍,血管障害,変性など),非特異的症状になるのが研究対象とならない理由だと思われる.その点で,脊髄髄膜腫の症候学を掘り下げたこの論文には臨床的価値がある.他の外科的脊髄疾患でも同様の研究が進み,診断学の向上に繋がることを期待する.

執筆者: 

有田和徳

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