GCSの言語コンポーネント評価不能症例をどうするか?:単純かつ精度の高い欠測値補完式の提案

公開日:

2020年9月24日  

最終更新日:

2020年9月28日

A practical method for dealing with missing Glasgow Coma Scale verbal component scores

Author:

Brennan PM  et al.

Affiliation:

Translational Neurosurgery, Centre for Clinical Brain Sciences, University of Edinburgh, United Kingdom

⇒ PubMedで読む[PMID:32898843]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2020 Sep
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)は頭部外傷などの急性脳損傷において最も頻用される重症度評価である(文献1).しかし,挿管などのため,言語機能があっても発語出来ない患者では言語コンポーネントが欠測値となり,重症頭部外傷では20%のGCS評価が不可能という報告もある(文献2).エジンバラ大学などのチームは,頭部外傷に関するIMPACTデータベースの11,989例を基に,開眼と運動機能のスコア毎の言語スコアの分布を求めた.IMPACTデータベースでは全体の11%で言語データが欠落し,特に開眼がない(E1)と運動スコアが低い(M1~4)群で高頻度に欠落していた(73.6%,76.8%).

【結論】

続いて,CRASHなど他の3個の頭部外傷のデータベース54,069例における開眼スコア(E),運動機能スコア(M),開眼と運動機能を足したEMスコア(2~10点)のスコア毎に言語スコアの分布を求め,これを基に言語データ欠測値補完モデルを次のように作成した.EMスコア2~6では1点,7では2点,8~9では4点,10では5点を追加した.実際にこのモデルを彼らが最近作成したGCS-PA CT予後推定モデルに当てはめると,言語スコア実測値を使用した場合とこの補完モデルを用いた時の決定係数(R2)は死亡で32.1%と31.3%,良好な転帰で34.9%と34.1%で,ほとんど差がなかった.

【評価】

著者等が提唱する補完式は非常に簡易で,挿管下で管理されている頭部外傷患者の予後推定に有用と思われる.著者等は,最近,頭部外傷患者の予後推定にGCSのスコアから対向反射の消失した眼(pupil)の数を引き算するGCS-P(0~15点),これに年齢(age)の要素を加えたGCS-PA,さらにCTにおける異常所見の数(0,1,2個以上)を加えたGCS-PA CTという3つの予後推定モデルを発表している(文献3,4).今後,別の大規模レジストリーで,この補完方法を用いたGCS-P,GCS-PA,GCS-PA CTスコアと予後との関係を解析し,この補完方法の有用性が外部検証される必要がある.

執筆者: 

有田和徳

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