ブローカ野を摘出してもブローカ失語は起こらない:UCSFにおける289例の定量的3次元解析から

公開日:

2022年8月26日  

最終更新日:

2022年10月4日

【背景】

ブローカ失語は,言語の理解は出来るが言語の流暢性が失われた状態で,歴史的にはブローカ野(下前頭回後部のブロードマン44/45野)の障害で起こるとされてきた.しかし近年,このブローカ野を障害するとブローカ失語が起こるというドグマには疑問が呈されるようになってきた(文献1,2,3).UCSF脳外科などのチームは優位側のシルビウス裂周囲の病変の摘出術を受けた患者を対象に,WAB失語症検査を用いて診断したブローカ失語と摘出脳部位のボクセル化による定量的評価を比較して,ブローカ失語を引き起こす脳の局在を求めた.対象は289例で,病変は神経膠腫83%,てんかん12%などであった.