優位側側頭葉切除では切除の後縁が3.5 cmより前方でも物品呼称が障害されることがある:側頭葉底部言語野との関係

公開日:

2025年3月13日  

最終更新日:

2025年10月16日

【背景】

ボクセル化病変-症状マッピング(VLSM)は,MRI等で示される脳の損傷領域の3次元単位(ボクセル)の部位と症状との関係を統計学的に求める手法である(文献1).最近このVLSMの手法を用いて,優位側側頭葉下面(紡錘回)にある側頭葉底部言語野(BTLA)の損傷と,絵画に描かれた物品の呼称の障害との関係が報告されている.このBTLAの前縁は優位側側頭葉先端から3.4 cmより後方に存在するとされている(文献2,3,4).仏ロレーヌ大学脳外科は2007年以降に左(優位側)側頭葉切除が行われた34例を解析して,BTLAを基準とした側頭葉切除の範囲と絵画物品呼称の障害との関係を解析した.