リンパ球性漏斗下垂体炎の新規分子マーカー、ラブフィリン3A

公開日:

2016年9月28日  

最終更新日:

2017年6月9日

Rabphilin-3A as a Targeted Autoantigen in Lymphocytic Infundibulo-neurohypophysitis.

Author:

Sugimura Y  et al.

Affiliation:

Department of Endocrinology and Diabetes, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan.

⇒ PubMedで読む[PMID:25919460]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2015 Jul
巻数:100(7)
開始ページ:E946

【背景】

リンパ球性漏斗下垂体炎(LINH)は中枢性尿崩症を起こすが,中枢性尿崩症の原因は多岐にわたっており,臨床的な鑑別は決して容易ではない.名古屋大学のSugimuraらは,LINHの原因となる自己抗原を求め,診断における同抗原の意義を明らかにした.ラット下垂体後葉溶解液をLINH患者血清から精製したIgGと免疫沈降反応させて,この免疫沈降反応物質をプロテオミクスで網羅的に解析し,LINHの原因自己抗原としてラブフィリン3A を同定した.

【結論】

ラブフィリン3Aに対する自己抗体である血清抗ラブフィリン3Aは,病理学的に確定診断された29例のLINH患者のうち22例(76%)において検出されたが,リンパ球性下垂体前葉炎では11%のみに検出された.一方,前葉あるいは後葉いずれのリンパ球性下垂体でない鞍上部腫瘤34例では,1例も検出されなかった.

【評価】

尿崩症を呈する疾患は多彩であり,中には胚細胞性腫瘍のように診断の遅れにより致命的な障害をきたすものもある.そのため早期診断が必要であるが,現在のところ確定診断は生検術によらざるを得ない.しかし,LINHでは経蝶形骨洞手術による安全で十分量の試料摘出は困難なことも多い.本研究では,LINH の診断がラブフィリン3A抗体の測定によって特異度100%,感度76%で可能であることが示された.今後,診断キットが開発されれば,LINHの鑑別診断に有用と思われる.一方,ラブフィリン3A抗体陰性LINHとは何なのか,その臨床的特徴も含めて明らかになることを期待したい.

執筆者: 

有田和徳

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