先端巨大症患者における癌の発生率は高くない:ドイツ・アクロメガリーレジストリーより

公開日:

2016年9月9日  

最終更新日:

2017年6月9日

The Incidence of Cancer Among Acromegaly Patients: Results From the German Acromegaly Registry.

Author:

Petroff D  et al.

Affiliation:

Clinical Trial Center, Division of Endocrinology and Nephrology, University of Leipzig, 04107 Leipzig, Germany

⇒ PubMedで読む[PMID:26244491]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2015 Oct
巻数:100(10)
開始ページ:3894

【背景】

先端巨大症において癌患者の発生率が高いか否かについては,まだ見解の一致がない.また,癌発生頻度に関するデータが多数発表された時代とは治療オプションが異なってきている.ドイツ・アクロメガリーレジストリーの446人(6,656人/年)の対照人口と比較した癌の標準化罹患率比(SIR)を求めた.

【結論】

全癌のSIRは0.75で,対照人口に比較して,わずかに低かった(p=.051). また大腸癌,乳癌,甲状腺癌,前立腺癌,肺がんのSIRはいずれも対照人口に比較して有意の上昇を示さなかった.GH値が<1, 1〜2.5, >2.5の3群で全癌のSIRは差がなく(p= .94),IGF-1の正常か高値か,放射線照射の有無,病悩期間,診断時年齢,GHとIGF-1が高い診断前8年から診断後2年かそれ以外の時期かでもSIRに差がなかった.

【評価】

先端巨大症患者では癌,特に大腸癌の発生率が高いことが報告されてきた.これが,先端巨大症患者における癌の強化スクリーニングを正当化してきた.本研究(ドイツアクロメガリーレジストリー)の446人では,いずれの癌も対照人口に比べて発生率は高くなくなかった.甲状腺癌のSIRは2.0とやや高値であったものの,p=0.39と統計学的な差はなかった.先端巨大症のコントロール率は時代とともに改善しており,本研究でも対象患者のうち72%のIGF-1が正常であったことを考慮に入れる必要もあるだろう.癌の発生率には人種差が大きいので,本邦でも同様の多施設レジストリースタディーが実施されるべきである.いずれにしても,先端巨大症患者であることを理由とした侵襲的な癌のスクリーニングには慎重にならざるを得ない.
なお,同様の低いSIR(0.76)を報告している先行研究もある(Orme SM, United Kingdom Acromegaly Study Group.:J Clin Endocrinol Metab, 1998).

執筆者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する