下垂体手術後の遅発性低ナトリウム血症と再入院

公開日:

2016年10月1日  

最終更新日:

2017年9月27日

Delayed Hyponatremia Is the Most Common Cause of 30-Day Unplanned Readmission After Transsphenoidal Surgery for Pituitary Tumors.

Author:

Bohl MA  et al.

Affiliation:

Division of Neurological Surgery, Barrow Neurological Institute, St. Joseph's Hospital and Medical Center, Phoenix, Arizona

⇒ PubMedで読む[PMID:26348011]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2016 Jan
巻数:78(1)
開始ページ:84

【背景】

下垂体腺腫術後の予期しない再入院の割合やその理由については明らかではない.Barrow Neurological InstituteのBohl MAらは下垂体病変に対する経蝶形骨洞手術後30日以内の予期しない再入院の頻度とその原因を調査した(n=303).

【結論】

経蝶形骨洞手術を受けた303人のうち27人(8.9%)が30日以内に再入院した.そのうち55.6%が低ナトリウム血症を示した.その他の原因としては尿崩症(14.8%),副腎不全(7.4%)の他,髄液漏,鼻出血,不整脈,肺炎,尿路感染症,低血糖がそれぞれ3.7%で続いた.低ナトリウム血症の患者では再入院までの期間は平均8日で,平均ナトリウム濃度は119mEq/Lであった.再入院につながる有意の因子は認められなかった.

【評価】

これまでも経蝶形骨洞手術後7日あたりで,ナトリウム濃度が最低になることが報告されているが,大規模な集団を対象とした本研究でもそのことが追認された.低ナトリウムの誘因としては年齢(高齢,若年),性,腫瘍のサイズ,産生ホルモンなどが報告されているが,本研究では明らかな誘因をみとめなかった.
著者らは本研究の結果を受けて,低ナトリウム血症による再入院を減らすために,手術後5〜7日でのナトリウム濃度測定をはじめとする外来パスを作成した.本研究の対象者の在院日数は平均2.7日で,米国では一般的な在院日数である.日本のDPCデータでは在院日数は約20日である.今後,日本においても在院日数は急速に短くなると思われるが,手術後5〜7日目には血中ナトリウム値を測定しなければならないことを考慮すれば,手術後7日までに退院させることが患者の利益につながるかどうか一考を要するところである.

執筆者: 

有田和徳

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