高度汚染地区に住んでいる先端巨大症の分子遺伝学背景と臨床像

公開日:

2016年9月6日  

最終更新日:

2017年9月23日

Acromegaly Is More Severe in Patients With AHR or AIP Gene Variants Living in Highly Polluted Areas.

Author:

Cannavo S  et al.

Affiliation:

Department of Clinical and Experimental Medicine Endocrinoology Unit, , University of Messina, Messina, Italy

⇒ PubMedで読む[PMID:26963951]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2016 Apr
巻数:101(4)
開始ページ:1872

【背景】

イタリア国メッシナ大学のCannavo Sらは,これまでシシリア島東北地区の高度環境汚染地区において先端巨大症の有病率が高いことを見いだしていた.今回,著者らは芳香族炭化水素レセプター(AHR)の遺伝子変異ならびにAHR相互作用蛋白質(AIP)遺伝子変異と先端巨大症の重症度を汚染環境への身体曝露の観点から関係づけた.

【結論】

高度汚染地区に住んでいる23人の先端巨大症患者のうち9人がAHR遺伝子変異かAIP遺伝子変異(変異陽性)を有していた.この9例は汚染地区在住だが変異陰性の14例や非汚染地区の187例(変異陽性44例を含む)に比較して有意に血中IGF-1レベルが高く,腫瘍径が大きかった.さらにソマトスタチンアナログに対して抵抗性であった.

【評価】

芳香族炭化水素レセプター(AHR)経路は汚染物質の非毒化と発癌に関わっている.一方,胚細胞性AIP非活化遺伝子変異は,全先端巨大症患者の4%,若年者の13%,家族性単独下垂体腺腫症(FIP)の40%に認められている.AIP遺伝子変異を有する患者の腺腫組織では正常アレルの欠失が認められることから,AIP遺伝子は癌抑制遺伝子と考えられるが,まだ腫瘍発生のメカニズムはわかっていない.環境汚染物質ならびにAHR遺伝子変異との関連で腫瘍の活動性に差が生じると類推した本研究の将来性に期待したいが,一体汚染物質とはなんであるのか,AHRのバリアントの意義と薬剤抵抗性の機序が述べられていないなど,疑問も多い.

執筆者: 

有田和徳

関連文献


メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する