Vol.1, No.1, P.10 公開日:
2016年8月21日最終更新日:
2020年12月10日Endocrinological side-effects of immune checkpoint inhibitors.
Author:
Torino F et al.Affiliation:
Department of Systems Medicine, Chair of Medical Oncology, Tor Vergata University of Rome, Italyジャーナル名: | Curr Opin Oncol. |
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発行年月: | 2016 Jul |
巻数: | 28(4) |
開始ページ: | 278 |
【背景】
現在,悪性腫瘍に対して3種の免疫チェックポイント阻害剤(イピリムマブ, ニボルマブ, ペムブロリズマブ)がメラノーマ,肺癌,腎癌に使用されているが,今後,その対象疾患は増加すると思われる.本剤投与による内分泌学的副作用の頻度,病態生理について最新の文献レビューを行う.
【結論】
これらの免疫チェックポイント阻害剤は,下垂体,甲状腺,副腎,膵内分泌腺などを含む複数の内分泌腺を標的とする自己免疫症候群を引き起こす.下垂体炎はイピリムマブ投与が,甲状腺はニボルマブ, ペムブロリズマブ投与が関係している頻度がより高い.原発性副腎不全はこれらの薬剤ではめったに起こらない.これらの薬剤の投与中に続発性,原発性の副腎不全症が起こったら直ちにステロイドが使用されるべきである.ステロイド剤投与による免疫チェックポイント阻害剤の効果への影響は報告されていない.ホルモン分泌不全は恒久的なこともある.
【評価】
本邦でも,これからますます使用頻度が増えていくと予想される免疫チェックポイント阻害剤であるが,自己免疫性内分泌症状の出現に対する担当医の十分な注意と患者や介助者に対する情報提供は不可欠であろう.
執筆者:
有田和徳関連文献
参考サマリー