Vol.1, No.2, P.13 公開日:
2016年9月18日最終更新日:
2018年4月5日Quantitative evaluation of headache severity before and after endoscopic transsphenoidal surgery for pituitary adenoma.
Author:
Duggal N et al.Affiliation:
London Health Sciences Centre, University Hospital, London, Ontario, Canadaジャーナル名: | J Neurosurg. |
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発行年月: | 2016 Jun |
巻数: | 124(6) |
開始ページ: | 1627 |
【背景】
下垂体腺腫患者が頭痛を訴えることは稀ではないが,科学的な手法での解析は少ない.頭痛の程度と治療による変化を定量的に評価し,QOLとの相関を求めた.定量的な頭痛評価としてHeadache Impact Test (HIT-6) ,QOL評価として SF-36を用いて手術前,手術後6週間と6カ月に評価した(n=79).
【結論】
13.9%が相当(substantial)の頭痛,22.8%が激しい(intense)頭痛を訴えた.若年者とホルモン産生腺腫のみが頭痛の予測因子であった.手術前の頭痛はSF-36 score, 特にmental health scoreに悪影響を与えた.手術後6カ月までに相当の患者で頭痛は改善した.手術後の頭痛改善の予測因子は若年,低いmental health score,ホルモン産生腺腫であった.
【評価】
頭痛はありふれた非特異的な訴えであるが,患者のQOLに大きく影響を与える.下垂体腺腫患者における頭痛について定量的に評価した論文である.若年者とホルモン産生腺腫のみが頭痛の予測因子で,容易に予想される腫瘍体積,鞍上部進展,視交差圧迫,海綿静脈洞浸潤は意外に頭痛の自覚とは関係がなかった.すなわち従来予想されていた腫瘍によるトルコ鞍硬膜や鞍隔膜の伸展による頭痛という機序は少なくとも大きな役割を果たしてはいないように思われる. HIT-6,SF-36とも比較的単純な評価方法であるので,今後,多施設での大規模前向き研究の結果が期待される.
執筆者:
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参考サマリー