Vol.1, No.3, P.3 公開日:
2016年11月26日最終更新日:
2020年12月11日Excess mortality and morbidity in patients with craniopharyngioma, especially in patients with childhood onset: a population-based study in Sweden.
Author:
Olsson DS et al.Affiliation:
Department of Endocrinology, Sahlgrenska University Hospital, Gothenburg, Swedenジャーナル名: | J Clin Endocrinol Metab. |
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発行年月: | 2015 Feb |
巻数: | 100(2) |
開始ページ: | 467 |
【背景】
頭蓋咽頭腫に関する国民ベースの疫学研究はない.スウェーデンSahlgrenska大学病院のOlssonらは,Patient Registry, Cancer Registry, Cause of Death Registryを個人ナンバーで紐付けして1987~2011年に登録された頭蓋咽頭腫患者の予後を明らかにした.N=307 (男151人,女156人),平均追跡期間は9年.
【結論】
追跡期間内の死亡は54人で全患者の標準化死亡比SMRは3.8(2.9〜5.0),男性で3.2(2.2〜4.7),女性で4.9(3.2〜7.2).SMRは小児期発症患者(n=106)で17(6.3〜37),成人期発症患者(n=201)では3.5(2.6〜4.6).汎下垂体機能不全患者(n=250), 尿崩症患者(n=110),両者ともにない患者(n= 54)ではSMRはそれぞれ4.3(3.1〜5.8), 6.1(3.5〜9.7), 2.7(1.4〜4.6).脳血管障害死亡のSMRは 5.1(1.7〜12).
標準化罹患比SIRは2型糖尿病:5.6(3.8〜8.0),脳梗塞:7.1(5.0〜9.9),心筋梗塞:0.7(0.2〜1.7), 骨折:2.1(1.4〜3.0),重症感染症:5.9(3.4〜9.4),悪性腫瘍:1.3(0.8〜2.1)であった.
頭蓋咽頭腫患者のSMRは一般人口に比較して高く,特に女性,小児期発症患者,下垂体機能障害患者で高い.
【評価】
スウェーデンお得意の複数のナショナル・データベース(Patient Registry, Cancer Registry, Cause of Death Registry)を個人ナンバーで紐付けして患者集団の予後を明らかにした研究である.
ちなみに標準化死亡比(Standardized Mortality Ratio: SMR)とは,観察集団の年齢構成に基準となる集団の年齢構成を当てはめて,実際の死亡数と基準母集団の死亡数の比(Wikipediaより)である.標準化罹患比(Standardized Incidence Ratio: SIR)も同様で,観察集団の年齢構成に基準となる集団の年齢構成を当てはめて,実際の罹患数と基準母集団の罹患数の比.
執筆者:
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参考サマリー