小児期発生頭蓋咽頭腫患者の死亡率,疾病率は高い:スウェーデンの住民ベース研究から

公開日:

2016年11月26日  

最終更新日:

2017年5月11日

Excess mortality and morbidity in patients with craniopharyngioma, especially in patients with childhood onset: a population-based study in Sweden.

Author:

Olsson DS  et al.

Affiliation:

Department of Endocrinology, Sahlgrenska University Hospital, Gothenburg, Sweden

⇒ PubMedで読む[PMID:25375987]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2015 Feb
巻数:100(2)
開始ページ:467

【背景】

頭蓋咽頭腫に関する国民ベースの疫学研究はない.スウェーデンSahlgrenska大学病院のOlssonらは,Patient Registry, Cancer Registry, Cause of Death Registryを個人ナンバーで紐付けして1987~2011年に登録された頭蓋咽頭腫患者の予後を明らかにした.N=307 (男151人,女156人),平均追跡期間は9年.

【結論】

追跡期間内の死亡は54人で全患者の標準化死亡比SMRは3.8(2.9〜5.0),男性で3.2(2.2〜4.7),女性で4.9(3.2〜7.2).SMRは小児期発症患者(n=106)で17(6.3〜37),成人期発症患者(n=201)では3.5(2.6〜4.6).汎下垂体機能不全患者(n=250), 尿崩症患者(n=110),両者ともにない患者(n= 54)ではSMRはそれぞれ4.3(3.1〜5.8), 6.1(3.5〜9.7), 2.7(1.4〜4.6).脳血管障害死亡のSMRは 5.1(1.7〜12).
標準化罹患比SIRは2型糖尿病:5.6(3.8〜8.0),脳梗塞:7.1(5.0〜9.9),心筋梗塞:0.7(0.2〜1.7), 骨折:2.1(1.4〜3.0),重症感染症:5.9(3.4〜9.4),悪性腫瘍:1.3(0.8〜2.1)であった.
頭蓋咽頭腫患者のSMRは一般人口に比較して高く,特に女性,小児期発症患者,下垂体機能障害患者で高い.

【評価】

スウェーデンお得意の複数のナショナル・データベース(Patient Registry, Cancer Registry, Cause of Death Registry)を個人ナンバーで紐付けして患者集団の予後を明らかにした研究である.
ちなみに標準化死亡比(standardized mortality ratio: SMR)とは,観察集団の年齢構成に基準となる集団の年齢構成を当てはめて,実際の死亡数と基準母集団の死亡数の比(Wikipediaより).標準化罹患比(standardized Incidence ratio: SIR)も同様で,観察集団の年齢構成に基準となる集団の年齢構成を当てはめて,実際の罹患数と基準母集団の罹患数の比.

執筆者: 

有田和徳

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