Vol.1, No.3, P.9 公開日:
2016年12月15日最終更新日:
2021年3月17日A Follow-Up Study of the Prevalence of Valvular Heart Abnormalities in Hyperprolactinemic Patients Treated With Cabergoline.
Author:
Drake WM et al.Affiliation:
Department Endocrinology, St Bartholomew’s Hospital, London EC1A 7BE, United Kingdomジャーナル名: | J Clin Endocrinol Metab. |
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発行年月: | 2016 Nov |
巻数: | 101(11) |
開始ページ: | 4189 |
【背景】
高プロラクチン(PRL)血症に対するカベルゴリンの長期投与が心弁膜異常の原因となり得るのか,心弁膜異常のスクリーニングのための現在のガイドライン*(英国)は妥当なのかを検証する.
【結論】
①高PRL血症に対してカベルゴリンによる治療を継続している192例(男性81例)において,2年以上の期間の前後で超音波心臓検査を施行した.期間内のカベルゴリン投与量は0.5mg/w(中央値).
②心弁膜異常とカベルゴリンの積算投与量との間に関連は認めなかった.
③高PRL血症に対するカベルゴリン投与患者においては,心弁膜異常は大きな問題にならない.現在英国で推奨されている心弁膜異常のスクリーニングのためのガイドラインは再考すべきである.
【評価】
*英国のMedicines and Healthcare Products Regulatory Agency(文献1)からは,高PRL血症に対するカベルゴリンあるいはブロモクリプチン治療について,薬物投与開始前に超音波心臓検査で心弁膜異常を除外し,さらに投与開始後3〜6カ月以内に1回,その後は6〜12カ月毎に1回の超音波心臓検査が推奨されている.
本研究グループ(英国)は2014年に横断研究で,高PRL血症に対するドパミンアゴニスト投与と心弁膜異常に関連はないと報告している(文献2).本研究ではさらに2年以上追跡しても,高PRL血症に対するカベルゴリン投与と心弁膜異常には関連がないことを示した.
本研究からは高PRL血症に対しては,少なくとも年単位でカベルゴリン0.5〜1.0mg/wの内服を継続しても心弁膜異常をきたす心配はないといえる.それではどこまで内服量を増やしても心弁膜症の発生に影響はないのか? 低用量であれば20〜30年間継続しても影響はないのか? は今後解決されるべき臨床課題である.
その答えの1つとして,2015年のLancet Diabetes Endocrinol(文献3)では,カベルゴリン3.0mg/w以上を5年以上,あるいは50歳以上での内服には注意すべきとされているが,さらなる検討が必要と考えられる.
関連文献
- (文献1)Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency: Ergot-derived dopamine agonists: risk of fibrotic reactions. Medicines and Healthcare products Regulatory Agency 2008
- (文献2)Drake WM, et al. A cross-sectional study of the prevalence of cardiac valvular abnormalities in hyperprolactinemic patients treated with ergot-derived dopamine agonists. J Clin Endocrinol Metab. 2014;99(1):90-6
- (文献3)Caputo C, et al. The need for annual echocardiography to detect cabergoline-associated valvulopathy in patients with prolactinoma: a systematic review and additional clinical data. Lancet Diabetes Endocrinol. 2015;3(11):906-13
参考サマリー