ErbB受容体駆動性のプロラクチン産生下垂体腺腫はラパチニブ治療に反応する

公開日:

2016年12月16日  

最終更新日:

2017年5月11日

ErbB receptor-driven prolactinomas respond to targeted lapatinib treatment in female transgenic mice.

Author:

Melmed S  et al.

Affiliation:

Pituitary Center, Department of Medicine, CedarsSinai Medical Center,LA, CA, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:25375038]

ジャーナル名:Endocrinology.
発行年月:2015 Jan
巻数:156(1)
開始ページ:71

【背景】

ErbB受容体(EGFR, HER)はプロラクチン産生下垂体腺腫で発現しており, 下流のシグナルを通じてプロラクチン産生と細胞増殖に関与している.CedarsSinai Medical Center (LA, USA)のMelmed Sのグループは,ラクトトロフに特異的にEGFRあるいはHER2が過剰発現するトランスジェニックマウスを作製して,プロラクチン産生下垂体腺腫の発生とこれに対するラパチニブの効果を検討した.

【結論】

EGFRあるいはHER2トランスジェニックマウスには,生後13〜15カ月でプロラクチン産生下垂体腺腫が発生した.血中プロラクチンレベルはそれぞれワイルドタイプの5倍と3.8倍であった.共焦点免疫螢光観察とウェスタン・ブロットでは,ラクトトロフに限局したプロラクチンとEGFRあるいはHER2の共発現が認められた.EGFRとHER2に対する二重チロシンキナーゼ阻害剤であるラパチニブ投与によって血中プロラクチンレベルは72%低下し,腫瘍のプロラクチン量は80%減少した.

【評価】

ラパチニブは上皮成長因子受容体(EGFR)とHER2の双方を阻害する二重チロシンキナーゼ阻害剤であり,商品名タイケルブ(グラクソ・スミスクライン)として,本邦では2009年4月に,HER2過剰発現が確認された手術不能または再発乳がん患者に対するカペシタビンとの併用療法が承認されている.本論文に先行する同グループのCooper Oらの報告では29例のプロラクチン産生腺腫において,ErbB受容体の発現が高頻度で認められた(陽性率:ErbB2>EGFR>ErbB4>ErbB3).そのなかでもErbB3発現が高いものが視交叉への腫瘍の圧迫(p= 0.03), 鞍上部伸展(p=0.04), 内頸動脈のエンケースメント(p=0.01)と相関していた.2例でラパチニブの投与が行われ,2例で血中プロラクチン値の低下と1例で腫瘍体積の抑制が認められたという.
ラパチニブが,D2作動薬でもテモゾロミドでもコントロールが困難な難治性のプロラクチン産生下垂体腺腫のネクスト・ライン治療薬になるのか,今後の展開が期待される.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

高橋裕先生 神戸大学

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