オクトレオチドからパシレオチドへの切り替えは先端巨大症のコントロール率を改善するか

Vol.1, No.3, P.6 公開日:

2016年12月17日  

最終更新日:

2021年1月19日

Switching patients with acromegaly from octreotide to pasireotide improves biochemical control: crossover extension to a randomized, double-blind, Phase III study.

Author:

Freda P  et al.

Affiliation:

Department of Medicine, Columbia University College of Physicians & Surgeons, New York, NY, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:27039081]

ジャーナル名:BMC Endocr Disord
発行年月:2016 Apr
巻数:16
開始ページ:16

【背景】

本論文は既報のオクトレオチドvsパシレオチドの第三相試験の延長期間(extension period)に実施されたクロスオーバー試験の結果である.同三相試験の最初の12カ月間(core period)で,生化学的コントロール(GH<2.5μg/L and IGF-1<ULN)が得られなかった先端巨大症患者のうち119例がクロスオーバー試験に入った.81例がオクトレオチドからパシレオチドLAR 40 mg/28日へ ,38例がパシレオチドからオクトレオチドLAR 20mg/28日へクロスオーバーした.

【結論】

クロスオーバー後12カ月でパシレオチド群では17.3%,オクトレオチド群では0%が生化学的コントロールを達成した.IGF-1の正常化率はパシレオチド群で27.2%, オクトレオチド群で5.3%であった.腫瘍体積は,パシレオチド群で平均25%,オクトレオチド群で平均18%縮小した.パシレオチド群で高血糖関連有害事象の頻度と程度が高いことを除けば,両薬剤の安全性プロフィールはほぼ同等であった.

【評価】

第2世代ソマトスタチン誘導体であるパシレオチドについては,既にオクトレオチドとのhead to head の第三相試験の結果が報告されており,その中で生化学的コントロールはパシレオチド群31.3%に対してオクトレオチド群19.2%(p =.007)であり,パシレオチドのオクトレオチドに対する優位性が示された(文献1).本論文は同じ第三相試験のうちクロスオーバー延長期間の結果を報告したものである.オクトレオチドでコントロールが不良な症例に対して,パシレオチドに切り替えることによって17%で生化学的なコントロールが達成できた.
日常臨床の場面ではオクトレオチドの投与によって生化学的なコントロールが困難な症例は多数あり,そのような症例におけるパシレオチドへの切り替えを正当化する論文である.

執筆者: 

有田和徳

参考サマリー