Vol.2, No.2, P.5 公開日:
2017年4月6日最終更新日:
2020年12月13日Emerging trends in the diagnosis and treatment of acromegaly in Canada.
Author:
Serri O et al.Affiliation:
CHUM, University of Montreal, Montreal, QC, Canadaジャーナル名: | Clin Endocrinol (Oxf). |
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発行年月: | 2013 Jul |
巻数: | 79(1) |
開始ページ: | 79 |
【背景】
1980年から続くカナダのアクロメガリー・レジストリーによる先端巨大症患者の長期フォローアップの結果である(n=649).
【結論】
前期(1980〜1994年)受診(n=169)の患者と後期(1995〜2010年)受診(n=470)の患者を比較すると,後期では前期に比較して,患者数・女性・高齢者が多く,放射線照射は少なかった(p<0.05).癌の発生は少ない傾向であった(p=0.051).GH値ではなく,治療前のIGF-1は高血圧,糖尿病の予測因子であった.89%で手術が実施され,手術単独による寛解率(IGF-1 の正常化)は27%であった.手術による寛解の予測因子は,高齢,小さな腫瘍径,非浸潤性の腫瘍,IGF-1の低値であった.薬物療法も含めた集学的な治療後に寛解やコントロール(薬物療法継続中でIGF-1が正常範囲)と判断されたのは69.5%であった. 治療後の寛解やコントロールの予測因子は女性と治療前のIGF-1の低値であった.
【評価】
経蝶形骨洞手術中興の祖,Hardy Jのお膝元,カナダでも手術単独による先端巨大症の寛解率(IGF-1 の正常化率)は27%に過ぎず,61%は追加の薬物療法が行われている.日本のレジストリーがないので推測に過ぎないが,寛解率と追加薬物療法への移行率が日本の状況とは大きく異なるように見える.手術療法による寛解率がこれだけ低いと,薬物療法ファーストチョイスのアイデアも出やすいのかもしれない.集学的な治療の結果に好影響をもたらす独立因子として,IGF-1の低値は容易に理解出来るが,女性患者については理解しがたく,今後の解明が待たれる.
執筆者:
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参考サマリー