自己分泌IL-6が下垂体腺腫の老化に関連している

公開日:

2017年4月20日  

最終更新日:

2017年4月25日

Autocrine IL-6 mediates pituitary tumor senescence.

Author:

Sapochnik M  et al.

Affiliation:

Instituto de Investigación en Biomedicina de Buenos Aires (IBioBA)-CONICET-Partner Institute of the Max Planck Society, Buenos Aires, C1425FQD, Argentina

⇒ PubMedで読む[PMID:27902467]

ジャーナル名:Oncotarget.
発行年月:2017 Jan
巻数:8(3)
開始ページ:4690

【背景】

ヒト黒色細胞,神経鞘腫,神経線維腫においてIL-6が癌遺伝子誘導的な細胞老化をもたらすことが知られている.アルゼンチンのSapochnik Mらは,いくつかのラット下垂体腺腫細胞株の中から老化関連マーカーの発現が認められた成長ホルモン産生下垂体腺腫細胞株(MtT/S)を選択し,内因性のIL-6が下垂体腺腫の老化にどのように関わっているか検討した.

【結論】

shRNAでIL-6の発現を抑制すると,老化関連マーカーである細胞老化特異的β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)とp16INK4aが低下,逆にpRbが亢進して,細胞増殖と浸潤が進むことがわかった.IL-6を抑制したMtT/S細胞株をヌードマウス皮下に注入すると腫瘍塊を形成したが,野生型MtT/S細胞株を注入しても腫瘍塊の形成は得られなかった.SA-β-gal陽性のヒト下垂体腺腫の培養細胞においても,内因性IL-6の発現を抑制すると老化関連マーカーは低下した.内因性IL-6は下垂体腺腫の老化の維持に関わっている.

【評価】

下垂体腺腫の多くは極めて徐々に増大し,中には成長を停止しているように見えるものもある.このような成長の特徴には細胞老化が関与している可能性がある. 本研究では内因性IL-6が下垂体腺腫の細胞老化と腫瘍細胞の増殖,浸潤能に関与していることを明らかにした.下垂体腺腫の成長のメカニズムに新しい光を与える研究である.なお本研究では,ヒト下垂体腺腫組織において老化因子とMIB-1値は逆相関することも報告している.

執筆者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する