頭蓋咽頭腫のMRI所見からBRAF変異を予測する

公開日:

2017年11月22日  

最終更新日:

2018年3月7日

Prediction of BRAF mutation status of craniopharyngioma using magnetic resonance imaging features.

Author:

Yue Q  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Huashan Hospital, Fudan University, No. 12 Middle Wulumuqi Rd., Shanghai

⇒ PubMedで読む[PMID:28984520]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2017 Oct
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

頭蓋咽頭腫は従来,小児例と成人例の両者に発生するadamantinomatous type(ACP)と成人例に多く発生するpapillary type(PCP)に分類されてきた.一方,最近のエクソーム解析研究によるとPCPにMAP kinase/ERK シグナルを制御するBRAF(V600E)に変異を認め,ACPにβ-cateninの遺伝子であるCTNNB1に変異を認めるという報告がなされている.
本稿では中国から52例の頭蓋咽頭腫において,MRI所見によって術前にBRAF変異を予測できるかを検討し報告した.

【結論】

BRAFの変異を認めた頭蓋咽頭腫は8例で,残り44例ではBRAF変異を認めなかった.この2群間でMRI所見を比較検討すると,BRAF変異を認める頭蓋咽頭腫の特徴は①主座が鞍上部の腫瘍,②形状が球形の腫瘍,③実質成分の多い腫瘍,④均一に造影される腫瘍,⑤下垂体茎の腫大を伴う腫瘍,であった.上記5項目のうち3項目以上を満たすと,感度1.00,特異度0.91でBRAF変異を認めた.

【評価】

BRAF阻害剤がBRAF変異を有する転移性黒色腫に有効であるという結果が報告され(参考文献1),さらに,BRAF変異を有する頭蓋咽頭腫でも腫瘍縮小効果が報告された(参考文献2).従来,手術と放射線治療しか選択肢のなかった頭蓋咽頭腫で,新たに薬物療法の可能性が示されつつある.
頭蓋咽頭腫に対して実際にBRAF阻害剤が投与可能になったとしても,これまでは腫瘍摘出後に遺伝子検査を行って初めて,薬剤の投与を検討することができた.しかし,これからは術前にBRAF変異を予測し,手術前に腫瘍縮小効果を期待した投与法や,頭蓋咽頭腫に対する第1選択治療としてのBRAF阻害剤の役割も期待される.
本稿は手術前のMRI所見からBRAF変異を高い感度・特異度で予測した点で意義深い.しかし,BRAF変異を認めた症例は8例と少なく,十分な症例数での検討とは言い難い.頭蓋咽頭腫は比較的発生頻度の低い疾患であり,今後は多数例を集積し,術前にBRAF変異をより正確に予測できるような追試を期待したい.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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