急性期下垂体卒中の手術時期と治療成績は無関係

公開日:

2017年11月21日  

最終更新日:

2018年3月7日

Surgical intervention for pituitary apoplexy: an analysis of functional outcomes.

Author:

Rutkowski MJ  et al.

Affiliation:

Department of Neurological Surgery, University of California, San Francisco, 505 Parnassus Ave., M-779, San Francisco, CA

⇒ PubMedで読む[PMID:28946177]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2017 Sep
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

下垂体卒中の治療については手術か保存的治療かという議論もあるが,著明な視力・視野障害を有する場合には手術が選択されている(参考文献1).また,視力・視野障害を有する症例では早期手術が望ましいと考えられている.一方,発症後どれぐらいの時間内に手術を行うべきなのかは,一定の見解が得られていない.
米国からの本報告では32例の急性期下垂体卒中において手術時期と治療成績の関係を報告した.

【結論】

発症後72時間以内に手術した13例と72時間以後に手術した19例の2群に分類し比較検討した.2群間で手術時期と視機能回復率,動眼神経麻痺の回復率,下垂体機能低下症の回復率,頭痛などの臨床症状の回復率に優位な差は認めなかった.
48時間以内に手術した7例と48時間以後に手術した症例を比較しても,結果は同じであった.

【評価】

本稿の結果をそのまま解釈すると,視機能障害を有する下垂体卒中の患者に対しても,急いで手術を行う意味はないということになる.しかし,発症から72時間で分けることにどれほど意味があるのか疑問を感じる.発症後,3日目あるいは4日目の手術はいずれも急性期手術とはいえないかもしれない.本稿では48時間で分けた場合の検討も追加されているが,7例と25例の比較となり症例数の偏り,不足は否めない.本稿の結果は発症後数日経過した下垂体卒中の場合は,手術のタイミングと治療成績に関連はないと理解すべきだと考えられる.視機能の回復率,下垂体機能の回復率と手術時期の検討については,発症後24時間以内や12時間以内の手術とそれ以降の手術についても検討される必要性がある.また,本稿の結果を踏まえたとしても,実際に視力低下や視野障害を有する患者,頭痛によってADLが低下している患者に対して,いたずらに手術時期を遅らせるメリットはない.手術直後から激しい頭痛が消失する点だけでも,可及的速やかに手術を行う価値はあるのではないだろうか.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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