同じようなサイズと場所の鞍結節髄膜腫:内視鏡 vs. 開頭,どちらが有利か

公開日:

2018年1月22日  

最終更新日:

2018年2月8日

Endoscopic endonasal versus transcranial approach to tuberculum sellae and planum sphenoidale meningiomas in a similar cohort of patients.

Author:

Bander Evan D.  et al.

Affiliation:

Departments of Neurosurgery, Weill Cornell Medical College, NewYork-Presbyterian Hospital, New York, US

⇒ PubMedで読む[PMID:28128693]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2018 Jan
巻数:128(1)
開始ページ:40

【背景】

近年,鞍結節髄膜腫に対する手術アプローチとして経鼻内視鏡手術による摘出(Endoscopic endonasal approach:EEA)が普及しつつある.しかし,開頭手術(Transcranial approach:TCA)に比較して,EEAは本当に有用性が高いのか.その検討は十分ではない.コーネル大学のBanderらによる本研究は,過去に摘出手術が実施された内視鏡でも開頭でも手術が可能な鞍結節髄膜腫を選び,実際に行われた手術方法によって二分し,摘出率,症状改善,合併症を比較した.2005〜2015年までに実施された鞍結節か蝶形骨平面の髄膜腫54例の画像を3人の脳外科医のパネルが観察し,経鼻内視鏡でも開頭でも手術が可能な髄膜腫32例を選んだ.この32例に対して実際に行われた手術はEEA= 17,TCA= 15であった.

【結論】

腫瘍径と腫瘍摘出度には2群間に差はなかった.術後MRI上の脳のFLAIR高信号と細胞障害性浮腫(DWIとADC mapで評価)の範囲はTCAグループの方が広かった(p=0.014とp=0.008).視機能の改善や不変はEEAの方が多く(93% vs 56%,p = 0.049),視機能悪化例はTCAのみに認められた(44% vs 0%,p = 0.012).術後けいれんはTCAのみに認められた(27% vs 0%,p = 0.038).髄液漏と嗅覚障害はEEAのみに認められた(11.8% vs 0%,p = 0.486と11.8% vs 0%,p = 0.118,).

【評価】

少数の症例ではあるが,比較的小型(腫瘍体積 中央値5.58 ± 3.42と5.04 ± 3.38 cm³)で鞍結節周囲に限局している髄膜腫(内頸動脈を超えない,前床突起突起を超えない,斜台方向に伸びていない,篩板を超えない)におけるEEAのTCAに対する優位性を示したものとして,注目すべきデータである.視機能悪化はTCAのみで約4割に認められ,一方,髄液漏と嗅覚障害はEEAのみで,約1割に認められた.今後,本研究の対象となったような比較的小型で鞍結節に限局するような髄膜腫に対する手術はEEAが主流となると予想される.
本シリーズでの髄液瘻の頻度は従来の報告(28〜62%)(参考文献1)よりもかなり低いが,これは彼らが用いているガスケットシール,ボタン,鼻中隔粘膜フラップなどの手技(参考文献2,3)が貢献している可能性が高い.髄液漏の完全な防止のための,さらに確実な前頭蓋底部開窓部位の閉鎖と嗅覚障害の予防は今後の課題である.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

藤尾信吾

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