ヨーロッパにおける侵攻性下垂体腺腫と下垂体癌に対する治療:157例に対するテモゾロミド治療の結果

公開日:

2018年2月5日  

最終更新日:

2018年2月16日

Treatment of aggressive pituitary tumours and carcinomas: Results of a European Society of Endocrinology (ESE) survey 2016.

Author:

McCormack AI  et al.

Affiliation:

Department of Endocrinology, St Vincent's Hospital, Sydney, 2010, Australia.

⇒ PubMedで読む[PMID:29330228]

ジャーナル名:Eur J Endocrinol.
発行年月:2018 Jan
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

下垂体癌および侵攻性(aggressive)下垂体腺腫の治療は困難で,有効な治療法は確立されていない.McCormack AIらは,下垂体癌と侵攻性下垂体腺腫に関してヨーロッパ内分泌学会会員に対するインターネット上での調査を行い,165症例を塊集した.(下垂体癌40例,侵攻性下垂体腺腫125例).

【結論】

患者年齢中央値は43歳(範囲4〜79歳).69%が機能性腺腫で,そのうち45%がACTH産生腺腫.Ki67インデックスは,2群間で差が無かった(下垂体癌10%,侵攻性下垂体腺腫7%).全165例中157例(95%)に対して初期化学療法としテモゾロミドが使用された.治療サイクル9回終了の段階で,CR6%・PR31%・SD33%・PD30%であった.治療効果は放射線照射併用群で高く,CRはMGMT低発現群のみで認められた.機能性腺腫の方がテモゾロミドの奏功率は高かった.

【評価】

本研究は,ヨーロッパにおいて,テモゾロミドが下垂体癌および侵攻性下垂体腺腫に対する化療法の第一選択薬になっていることを明確にしている.機能性腺腫,MGMTの低発現,同時的な放射線照射がテモゾロミドに対する良好な反応と相関していた.しかし,CR,PR,SDと判断した患者でも,その後の中央値12ヵ月の経過観察期間で25%,40%,48%が腫瘍の進行を示した.すなわちテモゾロミドの効果持続期間は限られており,テモゾロミドの次の一手が問われている.
本邦でも,下垂体癌や侵攻性下垂体腺腫に対するテモゾロミド治療の後方視的な研究が行われた(参考文献2).これによれば,その効果はMGMTの発現の有無に影響されず,むしろミスマッチ修復酵素の一つであるMSH6の発現と相関していたという.
いずれにしても,本邦でも,侵攻性下垂体腺腫に対するテモゾロミドが保健医療ベースで使用出来るよう,早急な対応が必要である.
なお,本研究とほぼ同時にヨーロッパ内分泌学会の侵攻性下垂体腺腫にガイドライン(参考文献1)が発表されている.これによれば,①侵攻性下垂体腺腫は学際的なチームによって管理されるべきである,②腫瘍の正しい分類のためには下垂体ホルモン分泌能や増殖因子などの組織学的な評価が必須である,③テモゾロミドは通常の治療が失敗に終わった症例に対する化学療法剤の第一選択薬であり,その効果評価は3サイクル後に可能かも知れない,④テモゾロミド有効例では6サイクルまでの継続が示唆される.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

藤尾信吾

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